再録・誌上ケース検討会
このコーナーは、月刊誌「ケアマネジャー」(中央法規出版)の創刊号(1999年7月発刊)から第132号(2011年3月号)まで連載された「誌上ケース検討会」の記事を再録するものです。
同記事は、3人のスーパーバイザー(奥川幸子氏、野中猛氏、高橋学氏)が全国各地で行った公開事例検討会の内容を掲載したもので、対人援助職としてのさまざまな学びを得られる連載として好評を博しました。
記事の掲載から年月は経っていますが、今日の視点で読んでも現場実践者の参考になるところは多いと考え、公開することと致しました。
第9回 要介護状態の老夫婦と精神疾患のある息子の3人家族をどう支えるか[モニタリング編]
(2005年4月号(2005年3月刊行)掲載)
※今回の内容は、第1回(2004年8月号)に掲載した事例の「その後」についての検討会の模様です。
スーパーバイザー
野中 猛
(プロフィールは下記)
事例提出者
Sさん(居宅介護支援事業所・保健師)
提出理由
本ケースは、以前(2004年5月)に検討をしていただいたことがあり、今日はそこでアドバイスいただいたことをふまえて実践を行った報告と、さらに現時点での助言をいただければと思い、提出した。
夫(クライアント・M氏)は、自分自身の健康上の問題(喉頭がん・肝機能障害・虚血性心疾患・腰椎圧迫骨折)がありながら、妻(くも膜下出血による左上下肢完全麻痺)と息子(精神疾患)の面倒をみている。M氏は日常的に多量の飲酒もしており、酔ったまま入浴して何度も溺れかけるなど、周囲をかなり心配させている。
利用者の概要
クライアント:Mさん(男性・78歳・要介護1)
病歴:アルコール症、虚血性心疾患(狭心症)、喉頭がん、腰椎圧迫骨折。
心身の状況:ADL・認知能力は問題なし。飲酒後に入浴し、湯船のなかで眠ってしまい、大騒ぎになることがある。飲酒歴はわからないが、かなり以前から飲んでいる模様。
職歴:知人と紙問屋を営む。息子の病気のことと妻の発病により60歳で引退。
経済状況:年金のほか貯蓄や不動産等もあり、比較的余裕がある。
近隣関係:近所づきあいは良好。現在の住居がMさんの生家。
利用しているサービス:訪問介護(毎日(昼・夕)生活援助)
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プロフィール
野中 猛(のなか たけし)
1951年生まれ。弘前大学医学部卒業。藤代健生病院、代々木病院、みさと協立病院、埼玉県立精神保健総合センターを経て、日本福祉大学社会福祉学部教授。専攻は臨床精神医学、精神障害リハビリテーション、地域精神保健、精神分析学など。主な著書に『心の病 回復への道』(岩波新書)、『図説ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『多職種連携の技術(アート)』(以上、中央法規出版)、『ソーシャルワーカーのための医学』(有斐閣)などがある。 2013年7月逝去。