再録・誌上ケース検討会
このコーナーは、月刊誌「ケアマネジャー」(中央法規出版)の創刊号(1999年7月発刊)から第132号(2011年3月号)まで連載された「誌上ケース検討会」の記事を再録するものです。
同記事は、3人のスーパーバイザー(奥川幸子氏、野中猛氏、高橋学氏)が全国各地で行った公開事例検討会の内容を掲載したもので、対人援助職としてのさまざまな学びを得られる連載として好評を博しました。
記事の掲載から年月は経っていますが、今日の視点で読んでも現場実践者の参考になるところは多いと考え、公開することと致しました。
第5回 40代・専業主婦の統合失調症の利用者をどう支えていくか
(2004年12月号(2004年11月刊行)掲載)
スーパーバイザー
野中 猛
(プロフィールは下記)
事例提出者
Dさん(精神障害者地域生活支援センター・保健師)
クライアント
Sさん・42歳・女性
病名:統合失調症
家族構成
夫(47歳)、長男(16歳)、義母(82歳)
住居
持ち家(一戸建て)
親族
両親は隣町に居住。きょうだいはいない。
生活歴
隣町(両親が住んでいる家)で生まれ育つ。小・中学校の頃は成績が悪く、ずっといじめられてきた。23歳の時に見合いをし、結婚(本人曰く、「持参金を持たされて結婚させられた」)。出産後間もなく統合失調症を発症し、入院。そのため、長男の幼い頃の子育ては実質的に義母が行った。
ふだんの生活状況
- ・毎朝4時頃に起床し、夫と長男の弁当を2時間くらいかけてつくる。
- ・2人を送り出した後は家事をするが、途中で居眠りをしてしまう。
- ・家の前に小さな畑があり、義母が耕していたが、体調を崩したため、近所の人に教えてもらいながらSさんが畑仕事をしている。
- ・義母は訪問介護を週1回、訪問看護を月2回利用している。
- ここから先は、誌面のPDFファイルにてご覧ください。
プロフィール
野中 猛(のなか たけし)
1951年生まれ。弘前大学医学部卒業。藤代健生病院、代々木病院、みさと協立病院、埼玉県立精神保健総合センターを経て、日本福祉大学社会福祉学部教授。専攻は臨床精神医学、精神障害リハビリテーション、地域精神保健、精神分析学など。主な著書に『心の病 回復への道』(岩波新書)、『図説ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『多職種連携の技術(アート)』(以上、中央法規出版)、『ソーシャルワーカーのための医学』(有斐閣)などがある。 2013年7月逝去。