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再録・誌上ケース検討会

このコーナーは、月刊誌「ケアマネジャー」(中央法規出版)の創刊号(1999年7月発刊)から第132号(2011年3月号)まで連載された「誌上ケース検討会」の記事を再録するものです。
同記事は、3人のスーパーバイザー(奥川幸子氏、野中猛氏、高橋学氏)が全国各地で行った公開事例検討会の内容を掲載したもので、対人援助職としてのさまざまな学びを得られる連載として好評を博しました。
記事の掲載から年月は経っていますが、今日の視点で読んでも現場実践者の参考になるところは多いと考え、公開することと致しました。


第72回 希望通り在宅で亡くなったケースへの支援を振り返る
(2006年5月号(2006年4月刊行)掲載)

スーパーバイザー

野中 猛
(プロフィールは下記)

事例提出者

Tさん(居宅介護支援事業所・看護師)

事例の概要

 クライアントは76歳の男性Sさん。地元で生まれ育ち、26歳で結婚。30歳で独立して工務店を起業する。一男一女をもうけ、仕事一筋の生活を送る。豪放磊落な性格で、亭主関白を絵に描いたような暮らしぶり。60歳を過ぎた頃から健康状態が悪くなる。糖尿病と診断され、インシュリン治療が始まる。65歳で長男に会社を譲る。73歳のとき、自宅で脳梗塞発症。その後も何度か再発を繰り返し、左上下肢に麻痺が残る。平成17年秋、ショートステイ中に誤嚥性肺炎を起こし、入院。退院後、自宅で療養するが、10日後に病態が急変し、死去。

既往歴

平成2年 糖尿病のためインシュリン治療開始
平成14年 脳梗塞発症。以後再発を繰り返す。左上下肢不完全麻痺、介助杖歩行可、障害老人日常生活自立度B2、痴呆性老人日常生活自立度Ⅱa
平成17年 終日傾眠がちとなり、嚥下障害等で体重減少、ADL低下が著明(障害老人日常生活自立度C2)、要介護5

家族関係

妻:72歳。既往歴等はないが、年齢相応の体力の衰えはある。
長男:48歳。父が興した会社を引き継ぐ。両親が住む家の向かいに居住。両親の生活費を全面的に援助している。
長女:45歳。隣市に居住。車で15分ほどの距離。週2回程度訪問し、妻の話し相手になるなど、精神的負担の軽減に努めている。

プロフィール

野中 猛(のなか たけし)

1951年生まれ。弘前大学医学部卒業。藤代健生病院、代々木病院、みさと協立病院、埼玉県立精神保健総合センターを経て、日本福祉大学社会福祉学部教授。専攻は臨床精神医学、精神障害リハビリテーション、地域精神保健、精神分析学など。主な著書に『心の病 回復への道』(岩波新書)、『図説ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『多職種連携の技術(アート)』(以上、中央法規出版)、『ソーシャルワーカーのための医学』(有斐閣)などがある。 2013年7月逝去。