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再録・誌上ケース検討会

このコーナーは、月刊誌「ケアマネジャー」(中央法規出版)の創刊号(1999年7月発刊)から第132号(2011年3月号)まで連載された「誌上ケース検討会」の記事を再録するものです。
同記事は、3人のスーパーバイザー(奥川幸子氏、野中猛氏、高橋学氏)が全国各地で行った公開事例検討会の内容を掲載したもので、対人援助職としてのさまざまな学びを得られる連載として好評を博しました。
記事の掲載から年月は経っていますが、今日の視点で読んでも現場実践者の参考になるところは多いと考え、公開することと致しました。


第53回 不全感の残る終了事例を振り返る
(2003年6月号(2003年5月刊行)掲載)

スーパーバイザー

奥川 幸子
(プロフィールは下記)

事例提出者

Oさん(地域福祉権利擁護事業・専門員)

事例提出の理由

 本人の意思を尊重した支援が難しく、地域福祉権利擁護事業の利用にはなじまなかった。現在は、事業を離れて在宅生活を継続させていることを考えると、事業でのかかわりは果たして何だったのか。援助を振り返って、じぶんのかかわりを検証したい。

クライアント

Kさん 72歳 女性

本人の障害や疾病

  • ・要介護1
  • ・アルツハイマー型痴呆
  • ・若い頃からの高血圧があり、月1回通院しているが、もらった薬はまったく服薬していない。

手帳の有無

 無し

利用者の生活状況

  • ・ひとり暮らし
  • ・持ち家(一戸建て)─現在は娘名義になっている。
  • ・年金─月20万円程度。
  • ・長年にわたり公務員をしていた。定年後も数年簡単な事務の仕事をしており、60代後半まで働いていた模様。若い頃は土地や建物を投機目的で購入したり売却していたらしい。
  • ・ホームヘルプサービス─週6回。
  • ・通院─月1回。

同居人・家族の状況

  • ・娘(夫と子ども一人)が町内に居住

プロフィール

奥川 幸子(おくがわ さちこ)

対人援助職トレーナー。1972年東京学芸大学聾教育科卒業。東京都養育院附属病院(現・東京都健康長寿医療センター)で24年間、医療ソーシャルワーカーとして勤務。また、金沢大学医療技術短期大学部、立教大学、日本社会事業大学専門職大学院などで教鞭もとる。1997年より、さまざまな対人援助職に対するスーパーヴィジョン(個人とグループ対象)と研修会の講師(講義と演習)を中心に活動した。主な著書(および共編著)に『未知との遭遇~癒しとしての面接』(三輪書店)、『ビデオ・面接への招待』『スーパービジョンへの招待』『身体知と言語』(以上、中央法規出版)などがある。 2018年9月逝去。