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再録・誌上ケース検討会

このコーナーは、月刊誌「ケアマネジャー」(中央法規出版)の創刊号(1999年7月発刊)から第132号(2011年3月号)まで連載された「誌上ケース検討会」の記事を再録するものです。
同記事は、3人のスーパーバイザー(奥川幸子氏、野中猛氏、高橋学氏)が全国各地で行った公開事例検討会の内容を掲載したもので、対人援助職としてのさまざまな学びを得られる連載として好評を博しました。
記事の掲載から年月は経っていますが、今日の視点で読んでも現場実践者の参考になるところは多いと考え、公開することと致しました。


第47回 主介護者である嫁のフェルトニーズをどう把握するか
(2002年12月号(2002年11月刊行)掲載)

スーパーバイザー

奥川 幸子
(プロフィールは下記)

提出理由

 介護者(嫁)は、介護に対する不安が強く、さまざまな職種に相談するが、最終的には、「姑がサービスを利用したがらないので、今のままでいい。近所や親戚等の目も気になる」等の理由でサービスの導入に消極的。不安の軽減ができないまま現在にいたっている。
 今後、介護者の介護に対する不安を和らげ、継続して在宅介護を支援していくためには、支援者としてどうかかわっていけばよいのか、事例検討を通じて学びたい。

事例の概要

◆姑
90歳、要介護3、痴呆あり。
身体状況
歩行——独歩(円背、膝に手をついて歩く)
排泄——失禁あり(はくパンツ・パット使用)
入浴——デイサービスでの一般浴介助のみ
コミュニケーション——高度難聴。物静かであるが、自尊心が強い。
既往歴
平成9年、縦隔洞腫瘍摘出手術。
平成11年、老人性痴呆(長谷川式8点)。
平成12年、起立性低血圧。
平成13年、大腸がん(右半結腸切除、胆のう摘出手術)。
病院や薬が嫌いなため、投薬なし。
生活歴
県内で出生。職歴はなし。20歳で結婚し、その頃、現住所に移る。実子はなく、実姉の子が22歳のときに養子となる。昭和58年に夫死亡。
現在利用中のサービス
平成4年より、デイサービス(現在週2回)。
平成12年より、基幹型支援センターの保健師訪問、短期入所(緊急時のみ利用、年2~3回)。
収入
年金、2カ月7万円程度

プロフィール

奥川 幸子(おくがわ さちこ)

対人援助職トレーナー。1972年東京学芸大学聾教育科卒業。東京都養育院附属病院(現・東京都健康長寿医療センター)で24年間、医療ソーシャルワーカーとして勤務。また、金沢大学医療技術短期大学部、立教大学、日本社会事業大学専門職大学院などで教鞭もとる。1997年より、さまざまな対人援助職に対するスーパーヴィジョン(個人とグループ対象)と研修会の講師(講義と演習)を中心に活動した。主な著書(および共編著)に『未知との遭遇~癒しとしての面接』(三輪書店)、『ビデオ・面接への招待』『スーパービジョンへの招待』『身体知と言語』(以上、中央法規出版)などがある。 2018年9月逝去。