再録・誌上ケース検討会
このコーナーは、月刊誌「ケアマネジャー」(中央法規出版)の創刊号(1999年7月発刊)から第132号(2011年3月号)まで連載された「誌上ケース検討会」の記事を再録するものです。
同記事は、3人のスーパーバイザー(奥川幸子氏、野中猛氏、高橋学氏)が全国各地で行った公開事例検討会の内容を掲載したもので、対人援助職としてのさまざまな学びを得られる連載として好評を博しました。
記事の掲載から年月は経っていますが、今日の視点で読んでも現場実践者の参考になるところは多いと考え、公開することと致しました。
第32回 口喧嘩が絶えない寝たきりの叔母と甥の二人世帯にどうかかわるか
(2001年9月号(2001年8月刊行)掲載)
スーパーバイザー
奥川 幸子
(プロフィールは下記)
事例提出者
Fさん(在宅介護支援センター・看護婦)
事例紹介
Sさん 女性 86歳
既往歴:平成9年、左大腿骨骨折
身長147cm、体重40kg
要介護4
日常生活自立度判定基準:寝たきりC1
家族状況とインフォーマルな支援の状況:
夫は死亡しており、実子はいない。姉の息子(甥、62歳)と同居しているが、別世帯となっている。
甥とはお互いの性格が合わず、喧嘩が絶えない。甥が面倒を見ていることになっているが、介護には手を出さず、金銭管理や書類作成等にかかわる。
本人は依存的な性格で、自分でできることでも他人を使おうとする傾向があり、自立が危ぶまれる。本人がしまい込んで忘れたり、なくしたものを「盗られた」と言うため、周囲は荷物の整理ができない。
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プロフィール
奥川 幸子(おくがわ さちこ)
対人援助職トレーナー。1972年東京学芸大学聾教育科卒業。東京都養育院附属病院(現・東京都健康長寿医療センター)で24年間、医療ソーシャルワーカーとして勤務。また、金沢大学医療技術短期大学部、立教大学、日本社会事業大学専門職大学院などで教鞭もとる。1997年より、さまざまな対人援助職に対するスーパーヴィジョン(個人とグループ対象)と研修会の講師(講義と演習)を中心に活動した。主な著書(および共編著)に『未知との遭遇~癒しとしての面接』(三輪書店)、『ビデオ・面接への招待』『スーパービジョンへの招待』『身体知と言語』(以上、中央法規出版)などがある。 2018年9月逝去。