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再録・誌上ケース検討会

このコーナーは、月刊誌「ケアマネジャー」(中央法規出版)の創刊号(1999年7月発刊)から第132号(2011年3月号)まで連載された「誌上ケース検討会」の記事を再録するものです。
同記事は、3人のスーパーバイザー(奥川幸子氏、野中猛氏、高橋学氏)が全国各地で行った公開事例検討会の内容を掲載したもので、対人援助職としてのさまざまな学びを得られる連載として好評を博しました。
記事の掲載から年月は経っていますが、今日の視点で読んでも現場実践者の参考になるところは多いと考え、公開することと致しました。


第30回 キーパーソンのいない高齢者をどう支えるか
(2001年7月号(2001年6月刊行)掲載)

スーパーバイザー

奥川 幸子
(プロフィールは下記)

事例提出者

Aさん(在宅介護支援センター・ソーシャルワーカー)

事例の概要

クライアント
Sさん。女性。大正3年生まれ。85歳。

家族構成
 夫は40年前に死亡、息子もすでに死亡している。県内に甥(故人)の嫁(Yさん)が住んでおり、たまに訪ねてくることがある。

既往歴
 平成10年、軽い脳梗塞を発症し、救急車で近くの病院へ運ばれる。このときから、右手に痺れ感が残る。他に高脂血症あり。

要介護度 要支援

ADL等の状況

歩行 可能(たまにふらつくことあり)
座位 可能
立位 可能
起き上がり 可能
立ち上がり 可能
着替え 自分でできるが、どこに着替えをしまったかわからないことがある。
食事 自力摂取可能だが、食べたかどうかを忘れることがある。自分ではあまり調理をしない(できなくなっていると思われる)。
身辺整理 何をどこにしまったかわからなくなる。
排泄 尿・便意あり、自分でトイレに行く。
入浴 自力で可能だが、入浴したかどうか覚えていない。
麻痺 右手に痺れがあり、力が入らない。
視力・聴力 異常なし。
会話理解 その場では理解している。
経済状況 厚生年金あり(2ヵ月で約25万円)。
痴呆 あり。直前のことをすぐに忘れる。「お金がない」「お金を盗られた」との訴えがある。何をどこにしまったかわからない。数ヵ月に一度ぐらい、ふらっとどこかへ出かけてしまう。

サービスの利用状況
 平成10年より、家事援助のためのホームヘルプサービス(週2回)、デイサービス(週1回)を利用。

プロフィール

奥川 幸子(おくがわ さちこ)

対人援助職トレーナー。1972年東京学芸大学聾教育科卒業。東京都養育院附属病院(現・東京都健康長寿医療センター)で24年間、医療ソーシャルワーカーとして勤務。また、金沢大学医療技術短期大学部、立教大学、日本社会事業大学専門職大学院などで教鞭もとる。1997年より、さまざまな対人援助職に対するスーパーヴィジョン(個人とグループ対象)と研修会の講師(講義と演習)を中心に活動した。主な著書(および共編著)に『未知との遭遇~癒しとしての面接』(三輪書店)、『ビデオ・面接への招待』『スーパービジョンへの招待』『身体知と言語』(以上、中央法規出版)などがある。 2018年9月逝去。