再録・誌上ケース検討会
このコーナーは、月刊誌「ケアマネジャー」(中央法規出版)の創刊号(1999年7月発刊)から第132号(2011年3月号)まで連載された「誌上ケース検討会」の記事を再録するものです。
同記事は、3人のスーパーバイザー(奥川幸子氏、野中猛氏、高橋学氏)が全国各地で行った公開事例検討会の内容を掲載したもので、対人援助職としてのさまざまな学びを得られる連載として好評を博しました。
記事の掲載から年月は経っていますが、今日の視点で読んでも現場実践者の参考になるところは多いと考え、公開することと致しました。
第21回 高齢者二人暮らし― 妻が死亡したとき、81歳の夫の今後をどう援助したらよいのか
(2000年10月号(2000年9月刊行)掲載)
スーパーバイザー
奥川 幸子
(プロフィールは下記)
事例提出者
Kさん(在宅介護支援センター・ソーシャルワーカー)
事例の概要
氏名・年齢
U氏 大正7年生まれ 81歳
医療保険
国民健康保険
同居家族
妻(68歳)
経済状況
本人:厚生年金(月額9万円)
恩給(月額5万円)
妻 :無年金
近隣との交流
知人のTさんが生活全般を援助する(Tさんの子どもが小さい頃、U夫婦が面倒を見ていたので、その恩返しのつもり)。
アパートの1階には大家が住む。妻との交流はあるが、U氏とは交流はなし。
生活歴
A県の庄屋の長男として生まれる。妻と子どもがいたが、現在の妻と一緒になり、遠く離れたS市で所帯を持つ。S市には、夫婦ともに親戚・知人はいない。U氏の先妻と長男はすでに死亡。娘は嫁いでいるが連絡・交流はない。後妻との間に子どもはいない。
性格
頑固、自分勝手
既往歴
高血圧、腹部大動脈瘤切除、人工血管による血流再建術
ADL
歩行・排泄・入浴・食事-自立
IADL
調理-カップ麺・パン、買い物-自立、洗濯-やったことがない
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プロフィール
奥川 幸子(おくがわ さちこ)
対人援助職トレーナー。1972年東京学芸大学聾教育科卒業。東京都養育院附属病院(現・東京都健康長寿医療センター)で24年間、医療ソーシャルワーカーとして勤務。また、金沢大学医療技術短期大学部、立教大学、日本社会事業大学専門職大学院などで教鞭もとる。1997年より、さまざまな対人援助職に対するスーパーヴィジョン(個人とグループ対象)と研修会の講師(講義と演習)を中心に活動した。主な著書(および共編著)に『未知との遭遇~癒しとしての面接』(三輪書店)、『ビデオ・面接への招待』『スーパービジョンへの招待』『身体知と言語』(以上、中央法規出版)などがある。 2018年9月逝去。