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訪問看護の報酬請求を間違えずに行いたい!

訪問看護の報酬請求を間違えずに行いたい!

 訪問看護の報酬請求業務がうまくいかない…。医療保険、介護保険、公費負担医療制度と複雑に絡み合う訪問看護の報酬請求は、多くの訪問看護ステーション職員にとって悩みの種ではないでしょうか?
 本記事では、令和6年度の報酬改定のポイントとともに、請求業務をスムーズに行うためのヒントを紹介したいと思います。ぜひ、参考にして日々の業務にお役立てください。

目次

1 訪問看護の報酬請求は難しい

 訪問看護ステーションの報酬請求業務は、医療保険・介護保険制度、公費負担医療制度にまたがり、複雑な処理が必要とされます。請求業務を正確に行うためには、制度の理解、報酬体系の把握、関連法規の遵守に加え、診療報酬改定や介護報酬改定といった制度変更にも対応していく必要があります。

2 令和6年報酬改定の主な変更点

 2024(令和6)年に行われた診療報酬・介護報酬の改定でも、持続可能な24時間対応体制の整備に向けた体制加算の新たな区分の創設や電話連絡相談体制の見直しなどが行われており、その改定内容をしっかりとおさえておかなければなりませんが、今回の改定では、特に医療DXの推進を目的として訪問看護のレセプト請求(医療保険請求分)について大きな変更があり、2024(令和6)年6月より(請求は7月請求)、訪問看護療養費のオンライン請求が開始されました

オンライン資格確認の導入

 オンライン資格確認とは、マイナンバーカードを使って医療保険の資格情報をオンラインで確認できる仕組みです。これにより、最新の保険証情報が確認できるようになり、従来のようなシステムへの手入力が不要になります。 また、利用者の同意を得た場合は、過去の診療情報や薬剤情報なども参照できるようになります。

オンライン請求の義務化

 オンライン請求とは、作成したレセプトデータをオンラインで審査支払機関に送信する仕組みです。オンライン請求によって、従来の紙媒体によるレセプトの印刷や発送が不要となり、請求業務の効率化が進みます。 医療保険の訪問看護療養費は、2024(令和6)年7月の請求分からオンライン請求が開始され、令和6年秋の保険証廃止に伴い、オンライン請求・オンライン資格確認が義務化されます。

3 請求業務をスムーズに行うためのポイントは?

事前の確認を徹底

 訪問看護の請求業務をスムーズに行うためには、事前の確認が重要です。

  • 保険証の有効期限の確認:保険証等の有効期限は事前に把握することができるため、早めに事業所内で告知します。時間的余裕をもって行うことで、利用者や家族に次回の訪問時に保険証等の写しを用意してもらうよう伝えることができます。なお、医療保険の場合、「オンライン資格確認」が導入されましたが、マイナンバーカードの健康保険証利用が進んでいないのが現状です。そのため、マイナンバーカード保険証を利用していない利用者には、「毎月の確認」が必要です。または「オンライン資格確認」で資格が有効かどうか確認できます。訪問看護師は、「訪問看護計画書」を利用者に提出する際に必ず被保険者証の確認を行い、被保険者証の確認を習慣化する、また、利用者や家族に「保険証等が変わったら必ず提示してください」と声かけすることで意識してもらうといったことも大切です。
  • 訪問看護指示書の記載内容確認:訪問看護指示書の内容に誤りや不足があると、請求業務が滞る可能性があります。 指示書を受け取った際には、「指示期間」「傷病名」「傷病名コード」「装着・使用の医療機器等」に記入漏れがないか、指示期間は正しいかなどを確認しましょう。誤りの多い箇所をまとめたチェックリストを作成するなど、工夫も有効です。
  • 請求内容のダブルチェック体制:請求業務は複雑な処理を伴うため、入力ミスや確認漏れが発生する可能性があります。 新人職員だけでなく、ベテラン職員でもミスが起こりうるという認識をもちましょう。また、看護職員と事務職員で請求内容をダブルチェックする体制を構築することも重要です。
  • 関係機関との連携:訪問看護ステーションでは、医療機関や居宅介護支援事業所など、様々な関係機関と連携する必要があります。円滑なコミュニケーションを図るために、担当者間の連絡先を共有したり、定期的な情報交換会などを実施したりするなど、日頃から良好な関係を築いておくことが大切です。
  • 請求システムへの過信は禁物:請求システムはあくまでツールであり、入力された情報が正しく処理されているか、常に確認する必要があります。 定期的に請求データのバックアップを取る、システムの操作方法について研修を受けるなど、システムのトラブルにも備えておきましょう。

業務効率化の工夫

  • 訪問看護療養費請求一覧表の作成:請求業務の効率化には、訪問看護療養費請求一覧表などを作成することも有効です。一覧表を作成することで、請求内容の確認漏れを防ぎ、請求業務をスムーズに進めることができます。
  • ケアプランデータ連携システムの活用:居宅介護支援事業所と介護サービス事業所の間で「サービス提供票」のデータ連携を行う際には、「ケアプランデータ連携システム」の活用を検討しましょう。このシステムを利用することで、データのやり取りがスムーズになり、業務負担を軽減できます。

継続的な知識習得と情報共有

 診療報酬・介護報酬改定は、数年ごとに実施されます。常に最新の情報を収集し、請求業務に反映していくことが重要です。 定期的に研修会に参加したり、関係機関と情報交換したりするなど、積極的に情報収集を行いましょう。 また、事業所内で研修会を実施したり、マニュアルを作成したりするなど、情報共有の機会を設けることも大切です。
 これらのポイントを踏まえ、請求業務に関する知識・理解を深め、正確な請求業務を心がけましょう。

4 請求書等のより具体的な記載内容・方法を知りたいときには…

訪問看護報酬請求マニュアル 第3版
-記載例でレセプト作成・請求のポイントがわかる

 オンライン資格確認・オンライン請求の内容に対応し、新設の訪問看護ステーションや新人事務職員はもちろん、管理者、ベテラン職員も活用できます。