相談援助職 必見! 社会保障制度 活用のポイント
第16回 こんなとき、どうする? 高齢者虐待への対応
①虐待を発見した場合の対応は?
医療福祉関連職種による「高齢者虐待」の早期発見について、高齢者虐待防止法第5条第1項では、次のように規定しています。
高齢者虐待防止法第5条第1項
養介護施設、病院、保健所その他高齢者の福祉に業務上関係のある団体及び養介護施設従事者等、医師、保健師、弁護士その他高齢者の福祉に職務上関係のある者は、高齢者虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、高齢者虐待の早期発見に努めなければならない。
つまり、虐待を受けていると思われる高齢者を発見した場合は、市町村または管轄の地区の地域包括支援センターに速やかに通報するよう努めなければなりません。特に生命にかかわるほどの重大な危険が疑われる場合、「通報」は義務として定められています。
高齢者虐待防止法第7条第1項
養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。
②虐待の可能性がある場合、守秘義務は?
言うまでもなく、ケアマネジャーには守秘義務があります。では、虐待の疑いで通報する場合も、本人の同意なく、地域包括支援センターに個人情報を伝えてはいけないのでしょうか。 もちろん、そんなことはありません。虐待の通報は、個人情報保護法の「第三者提供制限」の例外事項に当たるため、本人の同意なく、地域包括支援センターと情報を共有することができます。
虐待が疑われる場合、事は一刻を争います。通報や情報共有をためらっているうちに、事態が深刻化してしまうかもしれません。押さえておきたいのは、虐待の「判断」をするのは、通報を受けた市町村や地域包括支援センターの仕事であるという点です。
通報や相談に当たって確たる証拠も不要ですので、虐待が疑われる場合は、すぐに相談するようにしましょう。
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