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【保育者必見】クラスに「気になる子」がたくさん… 何から始めたらいい?

【保育者必見】クラスに「気になる子」がたくさん… 何から始めたらいい?

文部科学省の調査によると、通常学級に在籍している小中学生の8.8%に学習や行動に困難を抱える発達障害の可能性があるという結果が出ています。調査は小中学生ですが、幼稚園や保育所、認定こども園などの就学前施設に通う幼児についても同程度の可能性があるといえるでしょう。つまり、どの園にも発達に支援が必要な子どもたちが複数在籍している可能性があるということです。このような現状をふまえ、クラスに「気になる子」がたくさんいるときの支援方法を紹介します。

目次

1 「気になる子」って?

 集団生活をしていると、「見た目は他の子と変わらないけれど、集団行動になじめない」「何度も同じことを伝えているけれど、なかなかできない」といった様子が見られる子がいます。このような、発達に支援が必要と思われる子どもたちは、必ずしも障害があるとは限りません。
 でも、集団生活では、掲示物がたくさんあったり、さまざまな音が聞こえてきたりと刺激が多く、その子にとっては「苦手なもの」「混乱するもの」が多いのです。

2 クラスに気になる子がたくさんいるとこんな状況に…

 気になる子が複数いるクラスでは、「気になる子への対応」に追われ、担任の先生だけでは手が足りず、クラス運営が困難になることがあります。たとえば、次のような状況に心当たりはありませんか?

  • ●クラス活動になかなか取りかかれない
  • ●先生の声が枯れてしまうほど、大きな声で注意や指示をしなければならない

3 逆転の発想で「整える」

 このような状況のとき、「気になる子への対応」の前に、クラス全体に「多層的支援システム(MTSS)」の考え方を取り入れましょう。
 多層的支援システム(MTSS)とは、クラス全員が過ごしやすい環境をつくるために、子どもたちのニーズに合わせて段階的に支援内容を変えていくという考え方です。クラス全体を3つの層に分け、それぞれのニーズに合った適切な支援を行うことが重要となります。

(1)1層目(1次的な支援)

 クラス全員を対象とした共通の支援です。 年齢や発達段階に合わせた保育を展開し、居心地のよいクラスづくりや、わかりやすい活動を目指します。子どもたち自身が自立した行動を取れるように促すことが目的です。

<1次的な支援の例>

○刺激を減らす
掲示物を減らす、使わない物を片づけるなどして、子どもたちへの視覚的な刺激を減らしましょう。
○刺激を整理する
棚やロッカーの中を見やすく整理整頓する、物の置き場所を決め、絵や写真で表示するなど、子どもたちにとってわかりやすい環境をつくりましょう。
○保育者が話す位置を決める
窓や掲示物がない壁の前など、子どもたちが集中しやすい場所に立ちましょう。
○活動内容に合わせて座る位置を変える
子どもたちが保育者のほうを向きやすく、見本が見やすい、順番がわかりやすいなど、活動内容に合わせた座席配置を検討しましょう。
○1日のスケジュールを事前に伝える
絵カードや写真を使うなど、子どもたちの年齢や理解度に合わせてわかりやすく伝えましょう。

(2)2層目(2次的な支援)

 発達に支援が必要な子どもたちを含む、配慮が必要な子どもたちを対象とした特別支援です。 個々のニーズに合わせた適切な支援を行うことで、活動への参加を促します。

<2次的な支援の例>

○「個別」に伝える
具体的な行動を順番に伝え、「次に何をするのか」がわかるようにしましょう。
○常に「してほしい行動」を伝える
「~しないで」ではなく、「~する」を伝えるように意識しましょう。
○聞く準備をしてもらってから伝える
名前を呼んで話しかける、視線を合わせる、肩を軽く叩くなど、子どもに意識を向けてもらってから伝えましょう。
○「好きなこと」の絵カードで伝える
気持ちを切り替えたい時などに、好きな活動や物の絵カードを見せることで、子ども自身の意欲を引き出しやすくします。

(3)3層目(3次的な支援)

 知的障害や自閉スペクトラム症など、集中的な支援が必要な子どもたちを対象とした支援です。この層の子どもたちには、加配の保育者が必要となり、着替えや食事、トイレなどもマンツーマンでの対応が求められます。クラス全体の活動への参加が難しい子どもたちに対しては、加配の保育者が個別に誘導し、一部の活動への参加や、観察を通しての経験を積む機会を設けるなど、その子に合ったかかわり方をしていきます。

4 支援のポイントは?

 重要なのは、1層目(1次的な支援)によるクラス全体のベースづくりを優先することです。土台が安定することで、2層目、3層目の子どもたちの行動も落ち着き、結果として、個別の対応が必要な子どもたちを減らすことにつながります。

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本記事の内容は、下記書籍の内容をもとに編集・作成しております。

多層的なかかわりで子どもたちが落ち着く・まとまる
保育者のための 気になる子が複数いるクラスの整え方