【保育者必見】子どもの困りをどうやって伝える? 気になる子の保護者への対応ポイント
【保育者必見】子どもの困りをどうやって伝える?
気になる子の保護者への対応ポイント
園に発達の気になる子どもがいる場合、保護者がなかなかその状況を理解してくれなかったり、発達障害の可能性を受け入れてくれなかったりすることは、保育者の大きな悩みどころです。
「子どもの困りに早く気づいてほしい」と焦って対応してしまうと、保護者との関係がうまくいかなくなることも…。
本記事では、保護者の揺れ動く心情に寄り添うことで、信頼関係を構築しながら子どもの支援を進めていけるような保育者の対応ポイントを解説します!
1 気になる子の保護者対応における鉄則
保育者は、子どものことを第一に考えて保育を行うあまり、保護者に「子どもが困っているのにどうして気づいてくれないんだろう」と、保護者を責めるような気持ちになってしまうこともあります。
しかし、保護者も子どものことを真剣に考えているという前提を忘れてはいけません。
気になる子の保護者対応においては、「保護者の立場に立って考える」 ことが鉄則です。
保護者も一人の人間であり、「気になる子の保護者」という側面以外にも、さまざまな顔や役割をもち、さまざまな背景や事情を抱えています。
そして、子どもの困りを受け入れるまでに、不安、心配、葛藤、抵抗感など、さまざまな感情を抱きます。
保護者自身の気持ちや考え方を尊重して、保護者のペースに寄り添うことが大切です。
2 保護者のペースに応じた対応のポイント
保護者が子どもの特別なニーズに気づき、受け入れ、子どものために行動を起こすまでには、保育者から見て、以下の4段階のプロセスを辿ることが多いです。
保護者のペースに寄り添うために、プロセスに応じた対応ポイントを見ていきましょう。
PROCESS1
保育者は子どもの様子が気になっているが、保護者は気にしていない
この時期は、保護者の違和感がまだ曖昧な時期です。
保護者はまだ子どもの発達について深く考えていない場合が多いため、保育者から積極的に働きかけることは避け、まずは信頼関係を築くことに重点を置きましょう。
ポイント
子どもの発達に関する直接的な指摘は避け、日ごろの何気ない会話や子どもの様子を伝えることから始めましょう。
PROCESS2
保護者に子どもの様子を聞かれるようになる
この時期は、保護者の曖昧な違和感が徐々に明確になる時期です。
保護者は、子どもの言動に「ほかの子と違う」という違和感を抱き始め、周囲に相談するようになります。
保護者から子どもの発達について質問されるようになったら、具体的な状況や対応策を伝えるとともに、専門機関への相談も検討し始めましょう。
ポイント
- ・保護者の不安や心配を受け止め、「大丈夫」の一言で片づけずに、丁寧に話を聴きましょう。
(例)
保護者:「うちの子だけ、周りと違う気がするんです…」
保育者:「不安に感じていらっしゃるんですね。どんなところが気になりますか?」 - ・子どもの様子を具体的に伝え、保育者がどのような点に注目しているのかを明確に示しましょう。
- ・専門機関の情報提供など、保護者のニーズに合わせて始めていきましょう。
PROCESS3
保護者の葛藤を目の当たりにする
この時期は、保護者の限界感が高まる時期です。
保護者は、子どもの障害の可能性に気づき始め、医療機関などの専門機関を受診することもあります。
保護者が子どもの障害の可能性に悩み、葛藤している際には、寄り添い、共感しながら、具体的な情報提供や専門機関への橋渡しを行いましょう。
ポイント
- ・保護者の不安定な感情に巻き込まれず、冷静に状況を判断していきましょう。
- ・専門機関の受診を無理強いするのではなく、保護者のペースに合わせて、必要な情報を提供しましょう。
PROCESS4
保護者から子どもに対する支援を求められる
この時期は、保護者が「子どものため」に最大限行動する時期です。
保護者は、子どもの障害を受け入れ、積極的に療育機関などを利用するようになります。
保護者が子どものために積極的に行動し始めたら、園、保護者、専門機関が協力し、連携を取りながら支援を進めていきましょう。
ポイント
- ・保護者の積極性を尊重し、保護者と対等な立場で話し合いを進めましょう。
- ・園での支援内容や方法について、保護者と丁寧に共有しましょう。
(例)
保育者:「○○くんは、ブロック遊びをしているとき、ほかのお友だちに「貸して」と伝えるのが難しいようです。園では、○○くんが「貸して」とジェスチャーで伝えられるように、丁寧に促しています」 - ・家庭での様子を聞き取り、必要に応じて専門機関との連携も図りましょう。
保育者は、このプロセス全体を理解し、それぞれの段階における保護者の心理状態を踏まえた上で、保護者のペースに合わせた支援を行うことが重要です。
3 担任と管理職の連携も重要
気になる子の保護者支援においては、担任だけで抱え込まず、管理職と連携し、園全体で対応することが重要です。
担任は、保護者の様子や変化に注意し、気になることがあれば管理職に報告しましょう。
管理職は、担任からの報告を受け、必要に応じて専門機関との連携や園内での情報共有を行いましょう。
担任は不安な保護者に寄り添って支える、管理職は行動に踏み切ろうとする保護者の背中を押す、というように役割分担をすると、円滑な支援につながります。
4 専門的な支援につなげるには?
園だけで対応が難しい場合には、専門機関との連携が重要となります。
日ごろから地域にある専門機関や制度、コミュニティの情報を収集し、保護者の状況やニーズに合わせて情報提供を行いましょう。
子どもの発達や障害の可能性に関して相談できる場
- ・こども家庭センター(子育て世代包括支援センターから移行)
- ・保健センター
- ・市町村役場の子育て関係の担当部署
- ・市町村役場の障害福祉関係の担当部署
- ・児童相談所
- ・障害児相談支援事業所
- ・医療機関
- ・発達障害者支援センター
- ・児童発達支援センター
療育(発達支援)を受けられる場
- ・児童発達支援センター
- ・児童発達支援事業所
- ・放課後等デイサービス事業所
- ・保育所等訪問支援事業
保護者同士のつながりの場
- ・親の会
- ・ペアレント・メンター
- ・保護者向けプログラム(ペアレント・トレーニング、ペアレント・プログラムなど)
専門機関等につながった後は、機関との連携を密にし、子どもの状況や支援内容に関する情報共有を積極的に行いましょう。
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