ケアマネジャーの実践に活かすヒント集
本連載は、2007年に『ケアマネジメント実践ノート』として連載した内容をリニューアルして再掲するものです。あれから15年がたち私たちの実践には、変わったこともあれば、変わらずに大事なこともあります。
コロナ禍もあって、大変さが増すばかりのケアマネジャーの仕事ですが、大変さ以上の魅力がつまった仕事でもあります。「難しい……」を少しでも「面白い!」に変えていけるヒントをお伝えしていきたいと思いますので、最後までお付き合いくださいませ。
第18回 ケアマネ実践のヒント(9) サービス担当者会議
準備と進行
吉田光子
郡山ソーシャルワーカーズオフィス代表。ソーシャルワーカーとして病院、特養、老健、在宅介護支援センター、居宅介護支援事業所等に勤務した後、独立。個人・グループに対するスーパービジョンや各種研修の講師等を行う。
サービス担当者会議に必要な準備
今回は、サービス担当者会議を開催するにあたって必要なことは何か、考えていきたいと思います。
有意義な会議にするためには、まず目的をきちんと意識することが必要です。それによって、参加を呼びかけるメンバーを決めることができ、かつその中でも必ず出席してもらわなければならない人がはっきりします。そうすれば、その方の都合に合わせた開催日時の決定もできるようになります。
次に、当日必要となるものを整理しましょう。ケアプランのほかに必要な書類やパンフレット等の有無や、各参加者から提供してほしい情報の有無、当然利用者家族の意向も把握しておかなければなりません。そのうえで、事前に提出してもらって共有すべきか、当日配布する必要があるか、口頭でよいのかなども考え、検討した内容に沿って、開催の通知と合わせてそれぞれに依頼をしていきます。
開催の通知に関しても、メールか電話かファックスか、それ以外か、相手の都合も考えながら実施しましょう。当然,出欠の確認も必要です。出欠の確認ができたら、最後に再度当日の資料がそろっているかを確認して、準備は終了です。
会議の進行に当たって
サービス担当者会議の当日を迎えました。さて、どのように進行していったらよいのでしょうか。
ケアマネジャーの皆さんの中には、会議で進行役をすることに苦手意識を持っている方もいらっしゃるかもしれません。うまくやろうとするのではなく、役割を果たすことに気を配ってさえいれば、多少まごついたとしても、大丈夫、ちゃんとできるはずです。
ではケアマネジャーの役割とは何でしょうか。まず第一は司会進行です。
目的に沿って、議題は何か、誰から発言してもらうのか、どんな話をするのか、など事前に内容の大枠をメモしておくと安心です。そしてそこに時間の見込みも立てておきましょう。そうすれば、途中で予想外の話題が出たとしても軌道修正がしやすくなります。
第二に大切な役割は、利用者の代弁者になることです。
利用者によってはうまく自分で話ができない場合もありますし、自分できちんと話ができる方であっても、たくさんの専門職に囲まれ、自分から発言を求めることは難しい場合もあります。状況や様子を見ながら、疑問や提案したいことがないか発言する機会を設けたり、場合によっては、「……と以前仰っていましたが……」と助け舟を出すこともあるでしょう。
とにかく、サービス担当者会議の場で、利用者家族が置いてきぼりにならないように気を配りましょう。特に、専門職の参加者はつい使い慣れた専門用語で話してしまう可能性がありますから、利用者家族にとって耳慣れない言葉だと思ったら、言い替えたり説明を求めることも重要です。
そして第三の役割は、リスク管理です。
ケアプランを確認するとともに、目標が達成されない場合の対応や、プラン見直しの要否の判断基準や方法なども、参加者と共有しておきましょう。そうすることで、早期の対応がとりやすくなります。
会議が終わったら
無事にサービス担当者会議が終了したとして、それで終わりではありません。ケアプラン原案に修正があった場合には、その内容に書き換えて関係者に提示しなくてはなりません。欠席していた方へは報告をしなくてはなりません。
そんな折にも事前にその会議の目的が周知できていれば報告すべきことも、おのずと決まっています。参加した方々には、各自でメモをしてもらい、会議の終わりに確認するようにすれば、改めて書面で記録をお渡しする手間を省くことができるでしょう。
サービス担当者会議は、利用者を中心としてチームが共通の目標へ向かって自分の役割を確認し、互いの働きを効果的に結びつけるために開催されるものです。そのためにしなくてはいけないこと、互いに理解しておくべきことを一人ひとりの利用者に合わせて考えていくことが大切です。
- 〔吉田光子先生の著作〕
-
ケアマネジャー@ワーク
ケアマネジャースキルアップ読本―「なぜ」がしごとを変えていくマンガでわかる ケアマネジャーのためのアセスメント入門
だいじをギュッと! ケアマネ実践力シリーズ
モニタリング―準備から実践の流れ、事後対応まで