福祉の現場で思いをカタチに
~私が起業した理由 ・トライした理由 ~
志をもってチャレンジを続ける方々を、毎月全4回にわたって紹介します!
【毎週木曜日更新】
第52回②
介護タクシー ケアサポートドライブ代表 寺田貴裕さん
介護タクシーグループ アイラスと手を組みながら
自分なりの工夫を
介護タクシー ケアサポートドライブ代表
寺田貴裕さん
東京生まれ。会社員時代に、知り合いから介護タクシーの仕事の魅力を聞き、興味を持つ。その後、一念発起し、準備期間を経て、2022年に、介護タクシー ケアサポートドライブを起業。
取材・文 石川未紀
―前回は起業までのお話を伺いました。
―起業するにあたって、介護タクシーグループ アイラスに入られたそうですね。それはどういうものなんですか?
私は、一般社団法人 福祉移送ネットワークアイラスに加入していますが、私のように、介護タクシーを事業として立ち上げたいという人たちの開業を全面的にサポートをしてくれるところです。申請から開業準備、保険の手続き、勉強会や研修会なども行ってくれます。
現在、参加している車は関東全域で250台です。
一方、介護タクシーを利用したいという方には、加盟している介護タクシーを紹介しています。つまり、介護タクシーと利用者をつなぐ役割を担っています。
私たちにとってみれば、開業にあたって、さまざまな手続きが必要ですが、それを手伝ってくれますし、情報やノウハウ、勉強会を通して技術を学ぶことができます。コールセンターからご利用者の方を紹介していただけるので、いきなり個人で始めるよりは、断然リスクも少なくてすみます。
一方、ご利用者の方にとっても、初めて依頼する場合は、そもそもどうやって頼んでいいかわからないという方もいます。こうしたグループを通すことは、一定の安心感があると思います。また、何度か利用された方の中でも、個人の介護タクシーのところへ電話してもつながらない、急に介護タクシーが必要になった、というときにも対応してもらえる、などコールセンターを持っているアイラスのメリットは大きいと思います。なので、今後開業を考えている方にはぜひお勧めできます。
―介護の世界もタクシーの世界も初めての人にとっては、こういうグループの存在は頼もしいですね。
そうですね。申請手続きなど、自分ですべてやっていたら、もっと時間がかかっていたと思います。はたして開業までにどれだけの時間を有していたか考えもつきません。
―始められて、印象に残っていることなどありますか?
最初のご利用者の方は今でも忘れられません。病院から施設にお送りする仕事でしたが、たいていはご利用者の方と付き添いの方で乗られるのに、その時はおひとりでした。ナビに住所を入力し、目的地に着いてもそれらしき建物がなく、慌てました。ご本人はお話しできる状況ではなく、どうしようって悩み、そうこうしていたら、施設の方が出てきて、表通りではなく、路地を入ったところにあることが分かったのですが、今考えれば、住所と電話番号を聞いているのだから、電話して近くまで来ていると伝えればよかったのですが、緊張していたのでしょうね。
始めてから、まだ間もないですが、だいぶ慣れてきました。やはり「ありがとう」って言っていただけるととてもうれしいですね。「お兄ちゃん、次もよろしくね」と言ってくださったりすると、純粋にやっていてよかったなと思います。早くもリピーターとしてお願いしてくれる方もいます。
―順調ですね。何か秘訣のようなものはあるのですか? あるいは、これまで接客や営業のようなお仕事経験があるのでしょうか。
接客も営業も経験はないんです。
それに、特に秘訣というようなものはありません。けれどもやはり、お客様第一は心がけています。寄り添う、というとちょっとおこがましく聞こえますが、接し方はていねいに。当たり前ですが、介護が必要な方が乗られるので、そこはしっかりと心して接しています。
―ありがとうございました。
横になった状態のまま乗降できる
●インタビュー大募集
「このコーナーに出てみたい(自薦)、出してみたい(他薦)」と思われる方がいらっしゃいましたら、terada@chuohoki.co.jp までご連絡ください。折り返し連絡させていただきます。
「ファンタスティック・プロデューサー」で、ノンフィクション作家の久田恵が立ち上げた企画・編集グループが、全国で取材を進めていきます
本サイト : 介護職に就いた私の理由(わけ)が一冊の本になりました。
花げし舎編著「人生100年時代の新しい介護哲学:介護を仕事にした100人の理由」現代書館