福祉の現場で思いをカタチに
~私が起業した理由 ・トライした理由 ~
志をもってチャレンジを続ける方々を、毎月全4回にわたって紹介します!
【毎週木曜日更新】
第47回②
NPO法人 ぼくのくれよん 理事長 重野美奈子さん
自分が出来ることは惜しみなくやろう。
自然な流れで「ぼくのくれよん」に関わり、
NPO法人を立ち上げる。
重野美奈子(しげのみなこ)
NPO法人 ぼくのくれよん 理事長
横須賀市生まれ。小学生の頃から人に興味があり、福祉学科のある大学へ進学。神奈川県職員となり、現場で充実した日々を送っていた矢先、身体を壊して退職。結婚、出産を経た後、2008年に誘いを受けて、知的障害者の作業所「コミュニティハウス ぼくのくれよん」で現場復帰を果たす。初代立ち上げの方から引き継ぐ形で、2009年に所長となり、2014年3月1日NPO法人を登記。2019年には2つのグループホームを開業。知的障害者の個性を尊重し、よりよい生活を目指して、現在は計画相談事業、自立生活援助事業と広げ精力的に活動中。
- NPO法人 ぼくのくれよん
横須賀市三春町5-95-14
取材・文:原口美香
―前回は重野さんが「福祉」と関わるようになったきっかけから、
身体を壊されていったんは現場を離れるまでのお話を伺いました。
今回は復帰された経緯から教えてください。
ある先生に身体を治していただいて動けるようにはなったのですが、今も痛みや痺れはあり、今後も通院はしていかなければなりません。いずれ首の骨を大手術しなければならないとも言われています。そうしたらもう首は固定されて自由は効かなくなる。動けるようになった時に思ったのです。「いずれ動けなくなるのだとしたら、自分が出来ることは惜しみなくやらなければいけないな」と。
下の子が幼稚園に入るといろいろなところから「戻ってきたら?」「働かない?」と声をかけていただくようになりました。そんな時、横須賀キリスト教社会館の繋がりで、「ぼくのくれよん」を立ち上げた初代の堀尾さんから誘っていただき、最初は週に1日から始めさせていただくことになったのです。「ぼくのくれよん」は知的障害者の通所の作業所で、お菓子作りや手芸が主なんですね。私はどちらも好きだったし、もともと知的障害者に関わりたいと思っていましたから、本当に居心地がよくて楽しくやらせてもらっていました。
ところが堀尾さんが急に辞めなくてはいけなくなってしまい、資格があり経験者でもあった私が急遽所長を務めることになりました。
横須賀市でやっている作業所は、市から補助金をいただいて運営しているところと、国(国保連合会)からお金をいただいて運営する障害福祉サービス事業の2つがあるのですが、当時「ぼくのくれよん」は、市からの補助金で運営する方の作業所でした。
何年か経って、横須賀市より障害福祉サービスに移らないかと打診がありました。何度か研修をしていただいていくうちに、法律に乗っ取って国が認めたサービスを行うということは利用者さんにとってマイナスにはならないと感じました。
―どのようなことが変わるのでしょうか?
例えば看護師さんを入れなければならないということがあります。でもそれは利用者さんにとってはとても安心できること。職員にもちゃんとした給料が払えるようになるし、人材を増やすことも出来る。利用者さんにとって、職員が多ければそれだけ話や相談ができる相手が増えます。自分に合う人、合わない人、誰にだっていますから働く人にとっても「今日はちょっとダメだな」と思った時に、代わって接してくれる人がいたらお互いにとって穏やかに過ごせますよね。
そのためにいろいろな基準をクリアしていかなければなりませんが、将来を考えたらみんなにとってプラスになると思い障害福祉サービスに移ることに決めました。
法人格がないと障害福祉サービス事業が出来なかったので、NPOを立ち上げることは必須でした。2014年1月に現在の場所に移り、3月1日に、「NPO法人 ぼくのくれよん」を立ち上げました。
―復帰もNPO法人の立ち上げも、自然な流れがあったのですね。
次回は現在行っているサービスについてお話いただきます。
横須賀市内の46か所の作業所と「作業所連絡会」をつくり、支え合う。
コロナ渦においては無人販売会を担当し、販売を重ねてきた。
(場所提供 NTT通信研究センタ様 POPは総務課 北原様より)
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「ファンタスティック・プロデューサー」で、ノンフィクション作家の久田恵が立ち上げた企画・編集グループが、全国で取材を進めていきます
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花げし舎編著「人生100年時代の新しい介護哲学:介護を仕事にした100人の理由」現代書館