福祉の現場で思いをカタチに
~私が起業した理由 ・トライした理由 ~
志をもってチャレンジを続ける方々を、毎月全4回にわたって紹介します!
【毎週木曜日更新】
第44回①
よこすかひとり親サポーターズ・ひまわり 代表 佐藤 智子さん
当事者だからこそ分かることがある。
「ひとり親」の間口を広げ、
みんなで助け合う場が必要と市民団体を立ち上げる。
よこすかひとり親サポーターズ・ひまわり
代表 佐藤 智子さん
1974年横須賀生まれ。離婚後2人の子どもを育てるために看護師になることを決意。働きながら看護学校に通っていたころ、横須賀市が主催でひとり親の交流会を始めた。何度か参加し、生活の中で困っていることや変えてほしい制度について意見を出したが、検討されている様子もなく現状はなかなか変わらなかった。「当事者同士語れる場が必要。一番困っている人に役立つ制度も欲しい。それならば自分たちで立ち上げよう」と交流会で知り合った2人と2009年4月、「よこすかひとり親サポーターズ・ひまわり」を立ち上げる。当事者市民団体として、ひとり親同士が自由に話すことのできる交流会を始め、様々な活動を広げた。2014年、横須賀市から事業を委託され、行政との橋渡しも一挙に引き受けている。現役の看護師として活躍しながら2代目の代表を務める。
- よこすかひとり親サポーターズ・ひまわり
https://congrant.com/project/himawari/3095
取材・文:原口美香
-佐藤さんが「よこすかひとり親サポーターズ・ひまわり」を立ち上げよう思ったきっかけはどのようなところからだったのでしょうか?
私の子どもたちが保育園に通っていた時、横須賀市がひとり親家庭の交流会を始めたのです。保育園の先生から「こういうのがあるから行ってみたら?」と教えてもらって参加することにしました。10人くらいの人が来ていて、8割くらいは当事者、ひとり親の家族や、支援者、議員さんもいました。日々の生活の中で「こんなことに困っています」とか「こういう制度があったらいいな」みたいなことを、行政の方が聞いてくれて意見も出しました。インフルエンザ予防接種補助のことや、保育園のお迎えの時間のことなどでした。何度か参加した後、以前出した意見を検討していただいているか質問したんです。すると、なかなか検討もしてもらえていないという現状が見えてきました。言っても何も変わらないんだ、という気持ちになりました。同じように交流会で顔を合わせていた父子家庭のお父さんと母子家庭のお母さんと意気投合して、「だったら自分たちでやろうよ」と3人で立ち上げることにしたのです。
2009年の4月に「よこすかひとり親サポーターズ・ひまわり」として、活動を始めました。
「ひ」とり親の「まわり」のサポートや、「ひ」とり親たちが「まわり」回る助け合いでおやこ明るく生きて行こう、と願いをこめて「ひまわり」と名付けました。
自分たちで何千円かずつ出し合い、協力してくださる方もいらっしゃって「ちょっと1,000円出すよ」などとカンパをいただくこともありました。交流会を始めるための場所を借り、チラシを作りました。「ひとり親交流会」と書かれたチラシをじっと見ていると「あの人ひとり親なんだ」と思われ嫌な人もいるかもしれないと、チラシに連絡先を帯状に貼ってサッとちぎれるよう工夫しました。それをスーパーの目の付くところなどにお願いして貼らせてもらうのですが、結構断られたんです。まだ個人の勝手な集まりの段階だったので、「主催はどこですか?」「後援はどこですか?」と聞かれることが多かったですね。快く「いいよ」と貼らせてくださったところなど、後日チラシを確認しに行っては「どこどこのスーパー、何枚ちぎれていたよ」と報告し合いました。
無事、初めての交流会は10人くらい集まりました。当時、他団体がやっていたものは母子家庭限定だったので、私たちは間口を広げて、母子も父子も法的離婚前の人も未婚の人も「みんなで話をしようよ」と呼びかけました。「保育園のお迎えに間に合わないときどうしているんですか?」など日々の情報交換から、養育費についての悩みなど「おしゃべり広場」と名付けて2時間くらい話しました。最初、地域は限定しなかったので横須賀市以外からの問い合わせも多かったです。
―「当事者だから分かる」ということは、とても重要ですね。
次回は「ひまわり」の活動内容について詳しくお話を伺いたいと思います。
毎月行われる交流会。
情報共有の場でもあり、ホッと安らぐ居場所でもある。
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