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福祉の現場で思いカタチ
~私が起業した理由わけ・トライした理由わけ

志をもってチャレンジを続ける方々を、毎月全4回にわたって紹介します!

【毎週木曜日更新】

第19回③ 山木薫 knock-knock 共同代表
法人格にこだわらずにできる範囲で活動中!
助成金の活用はさまざまな効用が期待できる

knock-knock 共同代表
山木薫(やまき かおる)
2014年4月、東京都美術館×東京藝術大学「とびらプロジェクト」のアート・コミュニケータ有志と「knock-knock」を立ち上げる。アートと出会う機会の少ない児童養護施設を対象にした鑑賞プログラム「ミュージアムに行こう」を企画・実施し、アートとの出会い、アート体験を通じて社会の多様な価値観に触れる機会を創出するなど、アートを介した社会支援を展開する。


取材・文:進藤美恵子


 前回は、「knock-knock」の活動内容や児童養護施設を対象とした理由などついて教えていただきました。今回は、活動資金の一部として活用している助成金などについて伺いました。

──任意団体で活動されていますが、法人格を取得されない理由は?

 現在、13名のメンバーで活動しています。多くが、実施日当日スタッフとしてプログラムに関わっています。現状としてほとんどのメンバーが忙しい社会人です。気持ちがあっても「knock-knock」の運営や準備に関わる時間がありません。それで活動を優先した形となり、任意団体での運営となっています。

 法人格を持たないデメリットは多いと思います。助成金を申請する際に法人格が必要な場合が多く、助成の内容によってはNPO法人でなければ申請できない場合も少なくありません。メンバーの中から自然とNPOへの動きが出てきたらよいですし、将来的には法人化もあるのかなと思っています。団体としてNPO法人になりたいという声、運営の担い手を待っている状態です。

──助成金を活用されるメリット、デメリットは?

 運営資金は、メンバーの年会費と助成金を活用しています。ほかにもスペシャリストとして、アドバイザーや経理的なサポートを協賛してくださる人たちで「knock-knock」の活動を展開しています。助成金では、これまでに子どもゆめ基金(独立行政法人国立青少年教育振興機構)とアーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)から助成を受けています。

 子どもゆめ基金では参加対象者が20人以上という枠組みがありました。規模が大きいのが特色でした。「knock-knock」では少ない参加者でも受け入れていますので、条件が合わなくなり、半年間の助成となりました。助成金と言っても対象の人数のほかにも活動のどの部分が対象となるか、いろいろな場合があることを申請を重ねることで知りました。

 助成金を受けるためには申請書類の作成や、1年先を想定した事業計画の立案と大変なことも多いのです。一方で予算案を立てプログラムの流れ1つ1つの意義を考えるようにもなったようです。前例をなぞるのではなくそのときの子どもたちに沿った鑑賞プログラムの形の模索でしょうか。特に事後の報告書作成では、活動内容を振り返ることで次年時の内容を刷新していくきっかけにもなっているように思います。そうした面からも助成を活用し、自立した運営をしていきたいと思います。

 企画面での担い手が少ない中、助成金を受けるための書類等の作成等への労力は少なくありませんが、運営の見直しのヒントに繋がるなど金銭的な面だけではなく大きなメリットも享受できていると思います。最初に助成を受けたときに、活動を紹介するパンフレットを作成することができました。「knock-knock」の意義、目的を知ってもらうための大切なツールとして「knock-knock」の活動を必要としている児童養護施設の新規開拓にも役立っています。

 また2018年には「Museum Start あいうえの」(主催:東京都ほか、共催:上野公園にある美術館・博物館)の事業で、児童養護施設対象のインクルーシブプログラムを受託しました。当日スタッフのよいスキルアップの場になりました。参加した施設とはその後、「ミュージアムに行こう」に参加していただくなど毎年5月の連休に上野公園で実施を重ねております。

──ありがとうございました。
 金銭的な面だけではなく、さまざまな効用をもたらす助成金を活用するメリットを教えていただきました。最終回となる次回は、社会的課題に取り組む「knock-knock」の将来について伺っていきます。

助成金を活用して、活動を紹介するリーフレットや活動記録を作成


●インタビュー大募集
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