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福祉の現場で思いカタチ
~私が起業した理由わけ・トライした理由わけ

志をもってチャレンジを続ける方々を、毎月全4回にわたって紹介します!

【毎週木曜日更新】

第6回② 吉田聡 一期一笑 在宅ケアグループ 共同代表
1年間の準備期間を経て、起業。創業から7年で
6つのデイ、訪問介護&マッサージ、居宅を展開

一期一笑 在宅ケアグループ 共同代表
むさしウェルビーイング協会 理事

吉田 聡(よしだ さとし)
1985年生まれ。
学生時代から起業を志し、新卒で(株)船井総合研究所に経営コンサルタントとして入社。26歳で友人とデイサービスを設立。「お客様を元気にするデイ」として創業から7年でデイ6店舗、訪問介護、居宅介護支援、訪問マッサージの合計9店舗を東京都多摩エリアで展開し、在宅ケア全般のサポートに力を注いでいる。


取材・文:毛利マスミ

前回は、大手コンサルティング会社で介護施設を担当したことが、介護業での起業のきっかけとなったことを伺いました。今回は、起業までの道のりについてお聞きします。


──独立までの道のりは、順風満帆だったのでしょうか?

 コンサルティング会社には3年間勤めましたが、小規模であたたかいサービスの介護業の実現を目指して独立しました。25歳頃のことです。
 介護といえば社会貢献度の高い仕事です。両親は、自分の独立を認めてくれていましたし、介護で起業するということになれば、当然賛成してくれると思っていました。資金についても、応援してくれるはずだと……。ところが、いざ独立ということで話をすると、「人の命に係わるような仕事に、安易に関わるものではない」「学生時代にも、福祉のボランティアとかもした姿を見たこともない」「お前たちにお年寄りのトイレのお手伝いとかできるわけがない!」と、大反対されました。
 それで、現場のことも知らないとダメだということで1年間、自分は有料老人ホームに、一緒に起業を目指した友人は社会福祉法人の小規模多機能で働くことにしました。「修行」です。もちろん、自分たち自身も起業にあたって介護の現場を知ることの大切さも感じていましたし、両親に「現場の仕事も、排せつのケアもできる。本気だ」ということを証明し、出資してもらわないといけませんでしたから。

 また、介護業は経営が厳しいと言われることもありますが、その点についても不安はありませんでした。自分たちが起業した当時(2012年2月ごろ)は、フランチャイズも合わせると、創業わずか7年間でゼロから500店舗にまで一気に事業拡大した法人が話題になっていました。高齢者は確実に増えるが、施設は足りないのは明らかでした。介護業には将来性がある。新しい業界だからこそのビジネスチャンス、可能性を強く感じていたので、反対されても絶対に起業するという思いは変わりませんでした。

──資金集めの期間には、どのようなことをしたのでしょうか?

 ヘルパーの仕事だけでは起業のための資金稼ぎには足りなかったので、老人ホームには週4日通い、その他の日は、あらゆるアルバイトをして本当に休みなく働きました。当時は、とにかく稼ぎのよい仕事がしたかったので、キャバクラのボーイから家電量販店で冷蔵庫の販売もしました。歩合制で売った分が給料になったので、たくさん売りましたよ。
 また週4日ではありましたが、介護の仕事は楽しいものでした。しかし、仕事をすればするほど、自分が目指す「少ない人数で、しっかりとしたケア」は、ここではできないという思いも高まっていきました。

 そして1年後、2012年に共同経営者となる友人と自分、そしてそれぞれの両親から各250万円を出資し、合計1000万円を元手に「デイサービス一期一笑 東村山」を開業しました。

──現在の事業展開の規模を教えてください。

 開業から7年目の現在、6件のデイサービスと訪問マッサージ、居宅介護支援事業所。そして2019年1月からは訪問介護事業がスタートし、2019年4月に7件目のデイサービスの出店も予定しています。また介護業ではありませんが、共同経営者の前職のノウハウを活かして、求人広告の代理店の経営も続けています。介護業界の人材不足が叫ばれて久しいですが、一期一笑が短期間に何店舗も展開できたのは、求人業にノウハウがあったことも功を奏した面もあります。2018年12月末時点で、約80名のスタッフさんが働いてくれており、スタッフさんのおかげで、ご利用いただくお客様に自分たちの目指すケアができています。働いてくれているスタッフさんには、いつも本当に感謝しています。

──ありがとうございました。
  次回は、一期一笑が目指す介護の姿についてお話しいただきます。

毎日の散歩が一期一笑の特徴。
散歩中は笑顔が絶えない。

●インタビュー大募集
「このコーナーに出てみたい(自薦)、出してみたい(他薦)」と思われる方がいらっしゃいましたら、terada@chuohoki.co.jp までご連絡ください。折り返し連絡させていただきます。

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100歳時代の新しい介護哲学

「ファンタスティック・プロデューサー」で、ノンフィクション作家の久田恵が立ち上げた企画・編集グループが、全国で取材を進めていきます

本サイト : 介護職に就いた私の理由(わけ)が一冊の本になりました。

花げし舎編著「人生100年時代の新しい介護哲学:介護を仕事にした100人の理由」現代書館