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福祉の現場で思いカタチ
~私が起業した理由わけ・トライした理由わけ

志をもってチャレンジを続ける方々を、毎月全4回にわたって紹介します!

【毎週木曜日更新】

第5回③ 松田朋子 ちいさなこかげ
医療的ケア児の居場所が少ない中、
親子ともにいい時間を過ごしてもらうために

ちいさなこかげ
松田 朋子
1969年神奈川県生まれ。
看護専門学校卒業後、神奈川県立こども医療センターにて幼児内科病棟、ICU/脳外病棟勤務。脳外病棟時代に、重度心身障害児レスパイト施設「ちいさなこかげ」を発案した田中正顕医師(現・医療法人秋陽記念会・あしほ総合クリニック院長)から、声をかけられ賛同、立ち上げから運営全般を担っている。


取材・文:石川未紀


前回は具体的な運営のスタイルについて伺いました。
実際の運営状況や利用されている保護者の声を伺います。


──実際にはどのような方がどんなふうに利用されているのでしょうか?

 医療の依存度の高い、重症な方が多いですね。もちろん医療的ケアのない障害児の方もいらっしゃいますが、人工呼吸器をつけ、自分では体を自由に動かすことも困難なお子さんもいます。
 預かり時間は8時45分から17時30分まで。短時間でもお預かりします。もともと田中院長が、両親が働けるようにという思いもあってはじめていますから、重度重複障害児の預かり事業としては長時間だと思います。
 けれども、この時間だと普通のフルタイムの方が預けるには少し難しい時間帯ですね。ここから近所だとか、ご両親の勤務時間が変則などで工夫しあえるということでないと厳しいかもしれません。
 行政がやっている緊急のショートステイや保育園とは違いますから、預ける理由は問いません。ですから、働いていらっしゃる方もいますし、親御さんの用事や休息ためにも利用していただいています。

──働いていらっしゃる方もいるんですね

 どうしてもパートなどの短時間勤務が多くなりますが、最近では行政などがおこなっている送迎サービスを利用している方もいます。
 私達の勤務時間を考えても今の状況が妥当なところかなと思いますので、それぞれ工夫しあえるところで何とかやっているというところでしょうか。
 開所当初は毎日利用できていた方もいるのですが、現在新規で受け付けようとすると毎日とか、特定の時間の指定にお応えできないところもあります。
 定員は原則4~6名ですが、人工呼吸器をつけているお子さんもいれば、身体は元気というお子さんもいます。一緒にいると危ない場面があり、そこの調整は必要ですね。
 今でも、人工呼吸器をつけているお子さんは、学校で親の付き添いは必須なんですね。あるお子さんは、人工呼吸器をつけていて通学は週二回。毎週金曜日、うちでお預かりしています。そのお母様が「金曜が唯一自分に戻れる貴重な時間だ」とおっしゃっていたのですが、そういう声をいただくと少しでもお役にたてているとほっとした気持ちになります。

──医療的な依存度の高いお子さんですと、親の方も気が抜けずに心身ともに大変ですが、理由を問わずして預かってくれるのは助かりますね。

 そうですね。退院したばかりのご両親はとにかく緊張して夜も眠れません。がんばりすぎて、親の方が倒れてしまったり、精神的に追い詰められてしまうこともあります。強い緊張を強いられる環境にありながら、行政を含め社会的に、医療的ケアのある子どもたちの受け皿はほとんどありません。退院してきても家から一歩も出ない、他の子どもたちや親同士の交流もできないのが現状ではないでしょうか。一時預かりなどのサービスも医療的ケアの子どもを除くという条件が入っていて、親子ともども孤立しがちなんです。
 そういう不安や疲労を少しでも軽減したいという思いもありますし、実際にご利用いただいている方には、安心して預けられるという環境を常に整えていたいと思います。

──ありがとうございます。
 次回最終回では、ちいさなこかげの子どもたちの様子や将来についての希望なども伺っていきます。


子どもの様子に応じて遊びも工夫。
一緒に外に遊びに行くことも。

●インタビュー大募集
「このコーナーに出てみたい(自薦)、出してみたい(他薦)」と思われる方がいらっしゃいましたら、terada@chuohoki.co.jp までご連絡ください。折り返し連絡させていただきます。

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100歳時代の新しい介護哲学

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花げし舎編著「人生100年時代の新しい介護哲学:介護を仕事にした100人の理由」現代書館