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福祉の現場で思いカタチ
~私が起業した理由わけ・トライした理由わけ

志をもってチャレンジを続ける方々を、毎月全4回にわたって紹介します!

【毎週木曜日更新】

Vol.76 連載第4回
小学校域にひとつふらっと
立ち寄れる場所をつくりたい

渡邉 公子(わたなべ きみこ)さん

一般社団法人 ふらっとカフェ鎌倉代表

【HP】

第3回では、「ふらっとカフェ鎌倉」の具体的な活動、主に、誰もが集える地域食堂「みんたべ」、市との協働事業の「フードバンクかまくら」のお話を伺いました。

取材・文 石川未紀

――「ふらっとカフェ鎌倉」は活動の柱は3つと伺いました。3つ目の活動「みんたべ協議会」というのは具体的にどんな活動をされているのでしょうか?

 「みんたべ」「フードバンクかまくら」の活動を通じて、市内で運営している子ども食堂や福祉団体、高齢者施設や保育園などと連携し情報交換、意見交換などを行っています。

 前回も申しましたが、鎌倉は市民活動が盛んな地域でNPOなど市民の力で活動している団体がとても多いんですね。情報を共有することはとても大切なことだと思っています。

 今、私たちが行っている地域食堂「みんたべ」は、おてら食堂(安国論寺)、二階堂デイサービスセンター、ソンベカフェの三か所です。それぞれ特徴がありまして、おてら食堂では、イベントとして鎌倉女子大学管理栄養学科のゼミの先生、学生とコラボして栄養たっぷりの食事を作り食育などもしています。二階堂デイサービスセンターでは、音楽や国際交流などのイベントを行っています。ソンベカフェはみんなで協力し合って調理しています。

 ただ、こうした「みんたべ」は、鎌倉市全体を網羅できてはいません。ふらっと来るには、小学校区域に一つが理想だと思っています。

 実は、地域食堂をやってみたいけれど、具体的にどうやっていいかわからないという人もたくさんいるんですね。そういう方や団体に具体的にどうやって場所を借りたり食材を調達したり、広報したりすればいいのかをお教えしています。最初の数回は、私たちの団体でお手伝いしています。現在、18か所でみんたべ食堂が開催されていまして、チラシは全18か所、地図とともに団体名や連絡先などを載せています。いずれはそれぞれが自立してできるようになったらいいなと考えています。

 鎌倉は、比較的裕福な方が多く、今は、子育て支援のさまざまな制度ができ、一見子育て環境は恵まれているように見えます。けれども実際には親も子どもも息苦しさや孤独感を抱えている方も多くいます。それは、子育て世代だけに限ったことではありません。私たちがめざしているのは共生社会。だから、みんたべでは誰でも来られて、みんなで食事を楽しむことを目的にしているのです。

 私は寄付をしてくれたお店から買い物をするようにしているのですが、地域で活動にしていく上で、顔が見える信頼関係はとても大事だと考えています。
 地元の伝統野菜があるのですが、これらも、私が自分の庭などで栽培し、みんたべで提供してみて、いいなと思ったら農家さんに作ってみないかと提案してみる。伝統野菜という話題性も大事ですし、旬の食材を地元で作って食べるということも大事なことだと考えています。農家さんにとっても供給される場が確保されていれば、挑戦してみようという気になりますよね。こうしたことは、人間関係ができていないとなかなかできません。

――ひとつひとつの関係性を大切にしていくと、すべてがつながっていくんですね。

 そうですね。むずかしいことではありません。誰もが参加できて、食を通じてみんながつながる。みんなで食事をともにすると、やはりおいしく感じますよね。それが心にも体にも大切な「栄養」になるんです。だからこそ、誰もが気兼ねなく参加できる場でこれからも提供していきたいと考えています。

ありがとうございました。

渡邉 公子(わたなべ きみこ)さん 一般社団法人 ふらっとカフェ鎌倉代表

高等学校教員、大学教員、NPO事務局長・理事長等を経て、2017年一般社団法人「ふらっとカフェ鎌倉」を立ち上げる。世代を超えた交流の場を提供する「みんたべ」地域食堂、鎌倉市との協働事業「フードバンクかまくら」、市内で運営している子ども食堂や福祉団体、高齢者施設や保育園などと連携し情報交換をおこなう「みんたべ協議会」の三つの活動を柱に活動中。

デイサービスセンターでは音楽イベントも!

インタビューを終えて

幼少期の環境に加えて、渡邊さんご自身の行動力が相まって、今の活動につながっているのだと感じました。あまりにも自然体――。「当たり前のことをしているだけ」という渡邉さんの言葉は、謙遜ではなく、本当にそう感じておられるのだなと、心が温まる取材となりました。

●インタビュー大募集
「このコーナーに出てみたい(自薦)、出してみたい(他薦)」と思われる方がいらっしゃいましたら、terada@chuohoki.co.jp までご連絡ください。折り返し連絡させていただきます。

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100歳時代の新しい介護哲学

「ファンタスティック・プロデューサー」で、ノンフィクション作家の久田恵が立ち上げた企画・編集グループが、全国で取材を進めていきます

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花げし舎編著「人生100年時代の新しい介護哲学:介護を仕事にした100人の理由」現代書館