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福祉の現場で思いカタチ
~私が起業した理由わけ・トライした理由わけ

志をもってチャレンジを続ける方々を、毎月全4回にわたって紹介します!

【毎週木曜日更新】

Vol.76 連載第2回
大学教員、PTA会長
NPO事務局長・理事長の経験が生きる

渡邉 公子(わたなべ きみこ)さん

一般社団法人 ふらっとカフェ鎌倉代表

【HP】

第1回では、戦後民主教育の影響と渡邉さん幼少期からのお話から、現在の活動に至る「原点」となるお話を伺いました。

取材・文 石川未紀

――助け合って、誰かのためにできることをやるという行動力が自然と身についていったのですね

 そうですね。時代もあったのでしょうね。運動会も青年会など学校以外の人たちも協力してくれましたし、婦人会の人はおでんなどを作ってくれて、お昼ごはんはみんなで食べました。家族が来られない子どももいましたが、そんなことは関係なくて、みんなで食べていましたね。大人たちも仮装行列などして、楽しんでいたんですよ。
 高校時代まで、宇都宮で過ごし、大学進学を機に上京しました。

――80人に一人という難関を突破して、家庭科の教員になられたんですね。

 ええ。家庭科の教員は時間数も少なくて空きがあまりなくてね。神奈川・秦野の養護学校に赴任したんです。当時は肺結核や喘息の子どもたちが多くいました。親元から離れて暮らしている子がほとんどでした。新米の私が教員としていくと、子どもたちはどこかに隠れてしまったらしく誰もいない。探すと掃除道具入れやカーテンのかげ、床下収納なんかに隠れていたものだから、「どうしてあなたたちがここにいるかわかる? 空気がいいところだからでしょう。埃っぽいところに隠れたら体に悪い。隠れるなら木の上にしなさいね」と、隠れたことを責めたり怒ったりせずに言ったんです。
 そうしたらね、翌日、本当にみんな木の上にいたんです(笑)。だから、そこで授業をしました。
 その子どもたちとは今も付き合いがあるんです。

――素敵なお話ですね。

 お説教していたら、こんな関係にはならなかったでしょうね。人はみな平等だということを周りの大人たちが私に教えてくれたおかげだと思っています。

 その後、結婚して、子どもが生まれて。子どもが三歳のときに鎌倉に越してきて、50年になりますね。大学の教員をしたり、高校の非常勤をしたりしていました。子どもが小学生のころは、PTAの会長をしていたのですが、教員をしていたので、お互いの気持ちが理解でき、改革もできて経験が生きたかなと思っています。
 その後もNPO団体に参加して、事務局長・理事長なども務めました。任期満了のあとは退き、自分で団体を作ろうと、「ふらっとカフェ鎌倉」を立ち上げたのは2017年です。

――立ち上げまでの経験値がすごいですね。

 とにかく私は「現場」が好きなタイプで、NPOの事務局長の時は、自分は「現場」がいいなと実感しました。NPOは書類等の手続きが煩雑で、私には向かない。なので、あえて一般社団法人にして、「書類を提出しなくては」という義務感を軽くして現場に力を注ぎたかったんです。

 まずは地域食堂「みんたべ」を始めました。家庭科の教員をしていたこともありますし、幼少期からみんなで食事を楽しむことの大切さも実感していたので、私にとってこれが一番自信を持ってできることでした。これまでの経験のすべてが生かせると思いました。前回も申しましたが、私はやりたいと思ったら一人でもやってしまうタイプ。地域食堂を始める際も、30人~40人くらいの食事だったら私一人でもできるなと思っていました。ただ、NPOなど地域での活動をいろいろとやっていたので、私が「誰もが集えるカフェをやりたい」と言ったら、お世話になっていた方々が、渡邉さんがやるならと、ありがたいことに、すぐに応援団ができたのです。

第3回は12月19日(木)掲載

渡邉 公子(わたなべ きみこ)さん 一般社団法人 ふらっとカフェ鎌倉代表

高等学校教員、大学教員、NPO事務局長・理事長等を経て、2017年一般社団法人「ふらっとカフェ鎌倉」を立ち上げる。世代を超えた交流の場を提供する「みんたべ」地域食堂、鎌倉市との協働事業「フードバンクかまくら」、市内で運営している子ども食堂や福祉団体、高齢者施設や保育園などと連携し情報交換をおこなう「みんたべ協議会」の三つの活動を柱に活動中。

スマイルフードプロジェクト食料品は主に寄付。お互い様の気持ちで

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