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福祉の現場で思いカタチ
~私が起業した理由わけ・トライした理由わけ

志をもってチャレンジを続ける方々を、毎月全4回にわたって紹介します!

【毎週木曜日更新】

第70回①
NPO法人 市民後見☆北ネット 代表理事 水上人江さん
超高齢社会に必要不可欠な「市民後見」を
多くの人に知ってもらいたい!

NPO法人 市民後見☆北ネット
代表理事 水上人江さん

1949年生まれ。社会的課題に関心を持ち、子育て中は働きながら、保育園の課題解決に取り組む。定年になる1年前に受講した東京大学の「市民後見人養成講座」で市民後見の重要性を実感。修了後に仲間と社会福祉協議会が行っている地域福祉権利擁護事業の生活支援員に応募して活動しながら、2010年「市民後見☆北ネット」を立ち上げる。2016年NPO法人格を取得。後見受任のほか、啓蒙活動なども積極的に行っている。

取材・文 石川未紀

――市民後見とは少し耳慣れない言葉ですが。

 「市民後見」とは、弁護士や司法書士などの資格を持たない、一般の市民による成年後見のことです。
 成年後見制度という言葉は聞いたことはあると思います。実は、介護保険制度と同じ2000年から施行されている制度ですが、介護保険と比べると、世の中の認知度はまだまだ低いですね。ちなみに、成年後見制度は、判断能力が不十分な高齢者や障がい者等の権利を守り、生活を支援するために設けられた制度です。具体的には、成年後見人等が、身上保護や、本人に代わって支払いや契約手続き、財産管理などの法律行為を行います。
 成年後見制度は大きく二種類あり、判断能力が低下した時に備え、あらかじめ支援内容を契約しておく任意後見制度と、判断能力が不十分な方が利用する法定後見制度があります。
 成年後見制度を利用すれば、振り込め詐欺や悪徳業者による被害を未然に防いだり、親族による預金の流用や不動産売買などからご本人の財産を守ったりするなど、財産管理が難しくなった方の支援として有効です。現状では、成年後見人となる人は、親族後見人以外は、弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門職後見人が大半を占めています。
 そうした背景もあって、成年後見制度を知っている人でも、「それほど資産もないのだから、私には関係ない」と思われているのです。
 しかし、そんな方たちも他人事ではないのです。

――そうなんですか?

 一人暮らしの高齢者は増加の一途をたどっています。実は、成年後見制度ができた直後から、急速に進む超高齢社会に向けて成年後見人を弁護士や司法書士などの専門職に任せていては追いつかなくなると言われていました。
 そこで、東京大学と筑波大学が共同で、一般市民も成年後見制度の担い手になれるようにと、2009年に「市民後見人養成講座」を開催したのです。
 私は、この「市民後見人養成講座」の第1期生として受講しました。

――この活動を始めるきっかけとなったのですね。

 はい。ここで学んだことを生かし、社会貢献していきたいと思いました。同講座を受講していた同じ北区在住の仲間と2010年に「市民後見☆北ネット」を立ち上げ、2016年2月にNPO法人格を取得しました。
 冒頭の話に戻りますが、後見人の主な業務は、ひとりで決めることに不安のある方の金銭管理、介護・福祉サービスの利用などの支援です。市民後見人は市町村等の研修を修了し、必要な知識・技術、社会規範、倫理性を身につけ、後見センターなどに登録後、家庭裁判所の選任を受けてから、成年後見人等としての活動が始まります。

――市民後見人になるためにしっかりと知識等を学ばれているのですね。

 はい。また、私たち「市民後見☆北ネット」では、行政をはじめ、さまざまな団体や専門職と連携しながら、成年後見制度の普及・啓発、相談、利用支援、後見受任などを行っています。とくに利用される方と同じ地域に住んでいるという点を生かして、利用者の生活に寄り添う支援を大事にしています。

ありがとうございました。次回は、具体的な活動内容に加え、市民後見の必要性やその社会背景についても伺っていきます。

「市民後見」をもっと知ってもらいたい!

●インタビュー大募集
「このコーナーに出てみたい(自薦)、出してみたい(他薦)」と思われる方がいらっしゃいましたら、terada@chuohoki.co.jp までご連絡ください。折り返し連絡させていただきます。

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100歳時代の新しい介護哲学

「ファンタスティック・プロデューサー」で、ノンフィクション作家の久田恵が立ち上げた企画・編集グループが、全国で取材を進めていきます

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花げし舎編著「人生100年時代の新しい介護哲学:介護を仕事にした100人の理由」現代書館