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認知症ある人への 経済支援に使える社会保障制度ベスト3

認知症ある人への
経済支援に使える社会保障制度ベスト3

認知症と診断されたときに不安になるのが、今後の治療費や介護費用のこと。
病院の医療相談室には、経済的不安に関する相談が多く寄せられます。
そこで今回は、複雑で多数ある社会保障制度のなかから、医療ソーシャルワーカー(MSW)が認知症と診断された人への経済的支援で使う社会保障制度ベスト3を紹介します。
(この順位は、参考図書『認知症のある人の経済支援 まるわかりガイドブック』の事例で使われた社会保障制度の数に基づいています。)

目次

1 MSWがよく使う経済支援で使う社会保障制度

第3位:障害者手帳

 障害者手帳には身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者健福祉手帳の3種類があります。この手帳は、心身に障害を有していることを示す証明書となるものです。障害者手帳を所持すると、障害者総合支援法の対象となり、自治体や事業者等が提供する独自のサービスを受けることができます。
 認知症は精神障害者保健福祉手帳の器質性精神障害に含まれます。また、脳梗塞等を原因とした血管性認知症で身体に麻痺などの障害や失語症がある場合は身体障害者手帳の対象になることがあります。
 申請はお住いの市区町村の障害福祉を担当する窓口に、①申請書、②医師の診断書・意見書、③写真を提出します。各自治体によって必要書類が異なることがあるので、窓口で確認してください。

図 障害者手帳の種類

2 MSWがよく使う経済支援で使う社会保障制度

第2位:高額療養費制度

 高額療養費制度とは、同一月内(1日~末日まで)に支払った医療費の自己負担が一定額を超えた場合に、基準額を超過した金額について払い戻しを受ける(あるいは、窓口支払いを不要とする)制度です。同一月内に複数の医療機関を受診した場合や、世帯内で同じ医療保険に加入している人が支払う自己負担分も合算して計算することができます。
 自己負担の上限額は、年齢や所得によって異なります。加えて、過去12か月以内に3回以上高額療養費に該当した場合には、多数該当の対象となり、4回目以降の自己負担額がさらに減額されます。
 申請は、加入している医療保険の保険者に申請します
 高額療養費の所得区分と自己負担限度額は年齢や収入によって異なり複雑なので、制度の利用に際しては、医療ソーシャルワーカーなどの専門職に相談するとよいでしょう。

図 高額療養費の所得区分と自己負担上限額

3 MSWがよく使う経済支援で使う社会保障制度

第1位:自立支援医療制度(精神通院医療)

 自立支援医療制度とは、精神疾患で通院による精神医療を継続的に受ける必要のある人の医療費等の自己負担を軽減する公費負担医療制度です。所得により自己負担額がことなり、 市町村民税が23万5000円以上(年収約833万円以上)の世帯の人は所得制限により対象外になります。
 申請には、①自立支援医療支給認定申請書、②医師の診断書、③健康保険証、④同じ医療保険世帯の方の所得の状況等が確認できる書類、⑤マイナンバーの確認事項が必要です。申請窓口はお住いの市区町村の障害福祉を担当する窓口になります。

図 自立支援医療制度(精神通院医療)の負担上限額

 ここでは、よく使われる社会保障制度ベスト3を紹介しましたが、その人の状態に応じたさまざまな制度がありますので、医療ソーシャルワーカーなどの専門職に相談してください

もっと知りたい方に! おすすめ書籍

この記事は下記書籍の内容をもとに編集・作成しております。

『認知症のある人への経済支援まるわかりガイドブック』

竹本与志人・杉山京・木村亜紀子=編著

 現役の医療ソーシャルワーカーや大学教諭が上記の制度のほか、介護保険制度や年金制度など多数の制度を解説。さらに、認知症のステージ(初期、中期、後期)別に、どの段階で、どの制度が利用できるのかを事例を用いてわかりやすく紹介しています。認知症と診断された人や家族だけでなく、専門書の実務にすぐに役立つ1冊です。