介護職のための専門知識
フレイルとは? 診断基準と予防方法についても解説
「フレイルってなに?」「どうすれば予防できるの?」とお困りの方に向けて、定義と診断基準、予防・改善方法をわかりやすく解説します。
フレイルとは?
フレイルとは、加齢によって心身が衰え始めた状態のことであり、詳細は以下のように説明されます。
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具体的な状態像としては、「走るとすぐに息切れする」「外出するのが億劫」「食事が進まない」などが挙げられます。
また、免疫力や回復力の低下がみられ、「風邪をこじらせて肺炎になる」「転倒で骨折し、長期入院となる」などにつながる場合もあります。
介護予防のためにも、フレイルへの早期発見・早期対応が重要とされています。
豆知識 |
【フレイルの語源】 「フレイル」という言葉は、「虚弱」という意味のFrailty(フレイルティ)からつくられました。2014年に日本老年医学会によって提唱され、健康寿命の延伸に役立つ考え方として広まっています。 |
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フレイルの診断基準
厚生労働省の研究班によって定められた「日本版CHS基準(J-CHS基準)」では、以下の5項目のうち、3項目に該当する場合にフレイルとされ、1~2項目に該当する場合にフレイルの前段階とされます。
①体重減少……6か月で2~3㎏以上の体重減少 ②筋力低下……握力が男性28㎏未満、女性18㎏未満 ③疲労感……わけもなく疲れた感じがする ④歩行速度……歩行速度が1.0m/秒未満 ⑤身体活動……定期的な運動・体操をしていない |
フレイルへの対応で押さえておきたいのは、「しかるべき適切な介入や生活習慣の改善によって機能を回復することができる」ということです。
そのため、支援者は予防・改善方法を把握しておくことが欠かせません(次の項目で解説します)。
豆知識 |
【サルコペニアとフレイルの違い】 サルコペニアが「加齢による筋肉量や筋力の低下による身体機能の低下」を指すのに対し、フレイルは身体的な側面だけでなく、精神・心理的な側面、社会的な側面の機能低下も含む概念です。 |
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フレイル予防・改善方法
フレイル予防・改善のために重要なのは、以下の3つです。
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これらは、どれかひとつだけを頑張ればよいというものではなく、3つすべてに継続的に取り組むことが求められます。
栄養バランスのとれた食生活
1日3食、バランスに富んだ多様な食品をとれるようにすることが大切です。
特に、筋肉のもとになるたんぱく質が不足しないようにしましょう。
目標量としては、1日あたり1.2~1.5g/㎏体重程度と設定されています。
高齢者は食欲低下・胃腸のはらたきの低下などによって食が細くなりがちですが、その対策として、親密な人と一緒に食べる機会をつくるなど、生活環境の支援や食を楽しむための工夫をすることが支援者に求められます。
意識的な身体活動
身体活動は、運動と生活活動の大きく2種類にわけられます。
運動とは「体力の維持や向上、楽しみなどの意図をもって計画的に行われる活動」、生活活動とは「日常生活を営むうえで必要な労働や家事にともなう活動」をいいます。
高齢者は筋肉量や意欲の低下によって、運動を継続したり、新たに運動習慣をもったりすることがむずかしくなります。
そのような場合でも、買い物や犬の散歩、そうじ、洗車などの生活活動を行ってもらえるようにすると、フレイル予防・改善につながります。
社会活動への参加
地域社会や人とのつながりを失うことが、フレイルの入り口であるともいわれています。
閉じこもりがちな生活にならないように、たとえばボランティア活動、趣味や習いごとなどのグループ活動、近所づきあいなど、社会的なネットワークを保てるように支援することが求められます。
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