今月のケアマネジャー
介護専門職の総合情報誌『ケアマネジャー』最新号の内容をご紹介します。
ヤングケアラー・ダブルケアラー
ケアマネジャーだからできる支援とは?
かかわり方のポイントをズバリ解説!
『ケアマネジャー』2022年10月号から、特集(気づく・聴く・つなぐ ヤングケアラー・ダブルケアラー ケアマネだからできる支援)の内容を一部ご紹介いたします。
少子高齢化等に伴い、介護を担う世代や課題も変化しています。これまでは、大人が負ってきたケア責任を引き受ける若い世代ヤングケアラーや、育児と介護を同時に担うダブルケアラーと、ケアマネジャーはどうかかわるべきか。そのポイントをお伝えします。
Chapter1 ヤングケアラー・ダブルケアラーの基礎知識
ケア責任を負う若い世代ヤングケアラー・若者ケアラーや、育児と介護を同時に担うダブルケアラーが増えています。その全体像をざっくりと押さえましょう。
若者ケアラー※・ヤングケアラー※・ダブルケアラー※ってどんな人?
※いずれも法令上の定義はありません
若者ケアラーとは
18歳以降もケアをしている若者のこと。20歳代、30歳代でケアが始まるケースも含む。進学や就職、キャリア形成など、若い世代固有の課題とケアが重なることで負担が大きくなることがある。
ヤングケアラーとは
家族にケアを要する人がいる場合に、大人が担うようなケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている、18歳未満の子どものこと。
〈生活への影響〉
・欠席や遅刻が増えるなど、学校生活に影響する
・友達の話題についていけず、孤立する
・ストレスから心身に不調を来す
・進学や就職に影響する
ダブルケアラーとは
広い意味では、一つの家庭に複数のケアが重なった状態。狭義には、「育児と介護の同時進行」をする人のことをいう。多くが働き盛りの世代(30 ~ 40代)であり、仕事の兼ね合いも課題になっている。
〈生活への影響〉
・育児と介護のどちらを優先すべきか悩む
・子どもの行事に参加できない
・金銭的な負担が大きい
・心身ともに疲弊していく
ヤングケアラー・ダブルケアラー増加の背景
ヤングケアラー・若者ケアラー
─少子高齢化や世帯状況の変化が影響
少子高齢化が進む日本では、高齢者・障害者人口が増加し、ケアする人も増えています。また、核家族やひとり親世帯が増えるなど、世帯の状況も変化をしています。そのようななか、大人が担うようなケア責任を引き受けざるを得ない若い世代(ヤングケアラー・若者ケアラー)が増えています。
ダブルケアラー
─晩婚化により育児と介護が重なる
育児と介護を同時に担うダブルケアラーの数も増えています。これまでも育児や介護は、家族が主な担い手でした。しかし、現代は高齢化や女性の晩婚化・晩産化など、さまざまな要因によって、家族が育児と介護を両立することが困難になっています。また、制度と認知度が追いついておらず、相談先の窓口が複数に分かれているなど、課題解決が容易ではない現状があります。
Chapter 3-1
ダブルケアのタイプ別に押さえる
支援のポイント
ダブルケアラーが抱える悩みや困りごとは、その傾向に応じて4つのタイプに分類できます。それぞれ支援のポイントと併せて確認してみましょう。
Type1
介護と育児のジレンマ
―どちらを優先すればよいかがわからない
事例――Kさんの場合
介護のため仕事を辞めたいが、
教育費等を考えると辞められない
認知症の兆候がみられる一人暮らしの実母から、仕事中にもかかわらず、「財布がどこにあるか知らないか」などと電話が入るようになりました。仕事を抜けて電話に応対してきましたが、いつまた電話が入るかと思うと、仕事が手につきません。
仕事を辞めて実母の介護をすることも考えましたが、子どもの教育費が必要になることや、子どもの世話があることを考えると、それもできません。
ケアラーの悩み・困りごと
――退職により負担が増すことも
介護、育児、仕事を抱えた状況では、どれを優先すべきか判断に迷うことが少なくありません。仕事を辞めても、ダブルケアによる負担(金銭面含む)が増すこともあります。
タイプ別 支援のポイント
――状況を客観視できるようサポートする
まずは利用者への支援を検討します。そのうえで、ダブルケアラーに対しては、状況を客観視しながら優先順位を決められるように、必要な情報を提供し一緒に状況を整理します。
Type2
子どもの行事や家族のイベントに参加する時間がとれない
事例――Aさんの場合
実母の体調が不安定で長期の外出などができない
実母は、足が悪く、心臓に病気を抱えており、入退院を繰り返すようになりました。実母の体調には波があり、いつ状態が悪くなるかわからないため、子どもの行事(運動会など)に参加するときはヒヤヒヤしています。またここ数年、家族旅行は諦めています。
ですが、子どもとの時間は今しか過ごせないため、後悔したくありません。介護はいつ終わるかわからないので、介護を続けながらも、子育てや家族のイベントを大事にしていく方法はないか悩んでいます。
ケアラーの悩み・困りごと
――“子どもに我慢させている”という
思いが大きなストレスにつながる
介護があることで、子どもに我慢させているかもしれないと悩むダブルケアラーにとって、急に子どものイベントに参加できなくなったり、旅行をキャンセルしたりしなければならない状況は大きなストレスになります。その思いを無視しては、今後のダブルケアの継続が困難になることも考えられます。
タイプ別 支援のポイント
――子どもとの時間をつくり、モチベーションにつなげる
事前に子どもや家族のイベントがある日程を確認し、それに応じて要介護者のサービスを調整します。ダブルケアラーの「子どもとの時間も大切にしたい」という思いに応えることが、今後も介護を続けていくためのモチベーションにつながります。またダブルケアラーのレスパイト(休息)にもなるでしょう。
執筆・取材協力:
Chapter1, 2
田中悠美子 (立教大学 コミュニティ福祉学部 福祉学科 助教)
小薮基司 (横浜市すすき野地域ケアプラザ所長)
Chapter3
室津瞳/森安みか (NPO法人こだまの集い)
以上は、『ケアマネジャー』2022年10月号の特集の内容です。ぜひお手に取ってご覧ください。
特集
- Chapter 1
一目でわかる ヤングケアラー・ダブルケアラーの基礎知識 - Chapter 2
ヤングケアラー・若者ケアラー ケアマネだからできる支援 - Chapter 3
ダブルケアラー 支援の2大ポイント
ダブルケアのタイプと、ケアラーのタイプに応じた支援
- 『ケアマネジャー 2022年10月号』
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