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今月のケアマネジャー

ケアマネジャー

介護専門職の総合情報誌『ケアマネジャー』最新号の内容をご紹介します。

“読む”から“見てわかる”記録へ
支援の質が劇的に変わる!
注目の記録法F-SOAIP実践のポイント

『ケアマネジャー』2024年11月号から、特集(“読む”から“見てわかる”記録へ 支援の質が劇的に変わる! 注目の記録法F-SOAIP実践のポイント)の内容を一部ご紹介いたします。

「何を、どのように書けばよいかわからない」「要点を簡潔に書けない」など、記録の書き方に迷うケアマネジャーは少なくありません。
本特集では、そんな記録に関する悩みを解決できる注目の記録法「生活支援記録法(F-SOAIP)」の実践のポイントを紹介します。


注目の記録法 F-SOAIPとは?

記録の書き方に悩むケアマネジャーは少なくありません。
そのようななか、近年、F-SOAIPが注目を集めています。
どのような記録法で、どんなメリットがあるのか、詳しくみていきましょう。

記録に関する2つの課題

 ケアマネジャーをはじめとする相談援助職の記録には、利用者や家族、他機関との情報共有や、苦情等への備え、支援の振り返りへの活用など、さまざまな役割があります。
 しかし、記録の重要性が強調される一方で、記録について学ぶ機会が乏しく、記録の内容や書き方にばらつきがあるのが現状です。「居宅サービス計画書標準様式及び記載要領」で第5表の記載要領を確認しても、「文章における主語と述語を明確にする」「曖昧な抽象的な表現を避ける」など、一般的な文章を書く際の注意点こそ示されているものの、“専門職”としてどのような記録を書けばよいのか、その具体的な方法は示されていません。
 現場の記録に関する課題は、①文章力に関する課題と、②専門職としてのあり方に関する課題の2つに大きく分けることができます。
 まず文章力に関する課題としては、記録が長くなりやすいことや、記録者の文章力によって記録内容にばらつきが生じるといったことが挙げられます。たとえば、現場では、文章が長すぎてどのような場面を記録しているのかを理解するのに時間を要する記録などが散見されます。
 一方、専門職としてのあり方に関する課題としては、支援の根拠となるつどのアセスメントの結果やケアマネジャーの思考過程などが記載されていないことが挙げられるでしょう。モニタリング訪問時にメモした内容を記録として仕上げるにあたって、出来事を具体的に記述しようとして“専門職”として何を、どのように考えたのかが記録から抜けてしまうのです。
 専門職としてのあり方に関する課題については、ケアマネジャーが記録について学ぶ場が限られていることや、業務に追われて記録に十分な時間を割くことができないといった環境的な要因も大きくかかわっています。そのため、一朝一夕に課題を解決することはできないのが現状です。

注目の記録法・F -SOAIPとは

 こうした記録に関するさまざまな課題を解決できる記録法として、近年、注目を集めているのが生活支援記録法(以下、F-SOAIP)です。F-SOAIPとは、小嶋章吾氏(国際医療福祉大学大学院特任教授)、嶌末憲子氏(埼玉県立大学准教授)が開発した、表に示す6つの項目で記録する手法です。

F-SOAIPの項目

 F-SOAIPが従来の長文形式の記録(以下、叙述形式の記録)よりも優れている点の1つに、記録すべき項目が定まっており、必要な情報をもれなく記載できることがあります。看護分野では、SOAP(問題指向型記録法)やF-DAR(フォーカスチャーティング)といった項目式の記録が用いられてきました。

SOAP、F-DARの項目

 しかし、これらの記録法は介護職やケアマネジャーの記録では、なかなか定着しませんでした。なぜでしょうか。
 その最大の理由は、相談援助職の実践を記録するために必要な項目が不足していることです。まずSOAPには、F-SOAIPの項目I にあたる内容、つまり、「介入・実施」を記録する項目がありません。また、F-DARには、主観的情報と客観的情報の区別がなく、アセスメントを記載する項目がありません。これらの理由により、記録者は記載しようとしている内容がどの項目に近いかを考えたり、書かないといった判断をしたりせざるを得ず、大きな手間となっていました。
 F-SOAIPについても、項目を覚え、慣れる必要があるという点ではほかの2つの記録法と変わりありません。しかし、F-SOAIPには、相談援助職の実践を記録するために必要な項目がすべてそろっており、どの項目に、何を書くのかを迷う心配がなく、必要な情報を漏れなく記録に残せる点で優れています。

F-SOAIP導入のメリット

 F-SOAIP導入による主なメリットとして、以下のことが挙げられます。

①伝達しやすく、誤解が生じにくい

 F-SOAIPでは、項目F で記録のタイトルを設定するため、記録をたどりやすくなります。また、主観的情報(項目S )と、客観的情報(項目O)を分けて記載するため、どのような状況に対して、支援者が何を考えたのかが明確になります。これにより、記録者(支援者)が不在であっても、支援過程を明確に把握できるため、根拠をもって支援にあたれるようになります。

②利用者の言葉をそのまま残せる

 項目S (主観的情報)には、利用者の言葉をそのまま記録します。支援者の解釈や主観を挟まないため、記録を読むことで、利用者の言葉に含まれる真意(感情や価値観など)を正確に把握できるようになります。そのため、利用者の自己決定を支援する際やACP(アドバンス・ケア・プランニング)においても、F-SOAIPで書かれた記録は重要な判断材料となります。

③円滑な多職種連携ができる

 前述のように医療・看護分野では、SOAPやF-DARがかねてより用いられてきました。そのため、薬剤師等からの情報提供がこれらの方式で書かれていることもあります。F-SOAIPにはSOAPやF-DARと共通の項目も含まれるため、F-SOAIPに慣れることで、医療・看護職の記録を抵抗感なく読めるようになるなど、情報のやりとりがスムーズになります。

今回の特集では、さまざまなメリットがあるF-SOAIPについて、その基本的な書き方を紹介するとともに、すでにF-SOAIPを実践しているケアマネジャーにそのポイントなどを伺いました。詳細については、本誌(ケアマネジャー2024年11月号)をご覧ください。
監修:
小嶋章吾 国際医療福祉大学大学院特任教授
嶌末憲子 埼玉県立大学准教授

執筆(Chapter2):
藤井江美 株式会社ブライトケア 居宅介護支援統括部長
遠藤貴美子 株式会社わかばケアセンター 居宅業務管理課 課長

特集

Prologue
注目の記録法 F-SOAIPとは?
Chapter 1
F-SOAIPの基本 6つの項目を理解しよう
Chapter 2
事例で押さえる F-SOAIPの記録の書き方
Chapter 3
F-SOAIP導入のポイント

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