山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術
超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。
- プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)
-
介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)、『介護リーダー必読! 元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダシップの極意』(中央法規出版、2021年)がある。
逆境に強いリーダーであれ
2018年12月1日、私は施設長に就任しました。
あれから4年。
常に前を向き、走り続けるタイプの私にとって、記念日は自分を振り返るよい機会です。
振り返ると、この4年間は厳しい闘いの日々でした。
施設長に就任したばかりの私は、ご利用者にとって理想となる施設を目指し、躍起になっていました。そのために、職員に厳しいことを望み、指示し、ご利用者のために職員が犠牲になることは当たり前のように思っていました。そこに、職員の気持ちを汲むことができていなかったのです。職員の退職が相次ぎ、施設運営が厳しい状況にまで追い込まれました。
それでも私は、強気な姿勢を崩しませんでした。「すべて想定内」そう言って強がり、威厳を保とうとしました。組織のリーダーは、強くなければならない。どんなときでも、強気でなければならない。そう信じて疑わなかったのです。
しかし、そこに追い打ちをかけるようなことが次々と起きました。毎日必死だった私の心は壊れる寸前まで追い込まれていました。私はこのとき、人生で初めて「助けて」という言葉を口にしました。当時の私にとっては、恥ずかしいと思っていた言葉。でも、いまになって思うことは、本当に恥ずかしいのは、実力もないくせに、強がって、威厳を保とうとすることだとわかります。
「信頼」という言葉は、“信じて頼る”と書きます。信頼はきっと、片方だけが寄せる想いではなく、お互いに寄せる想いのことだと思います。お互いを信じ、ときには頼る。これこそが、“信頼関係”です。
多くの失敗によって、多くの学びを得た私は、4年前より、少し成長した気がします。
最も感じるのは、逆境に強くなったこと。時代はコロナ禍。通常以上にさまざまな問題が起こりますが、自分でもあきれるぐらい、動じなくなりました。
リーダーは有事に強いほうがいいです。問題が起こるたびに、イライラしているリーダーはみんな嫌だと思います。
「報・連・相ができてない!」と怒るリーダーがいますが、「報・連・相」ってイライラしている人には、しにくいですよね。そんなリーダーだから、情報が集まってこないのです。
問題なんて、起こるのが当たり前。組織は問題の集合体です。問題が起きたことをいちいち嘆くのはやめましょう。
いつも冷静であり、心穏やかであり、的確な指示をしてくれるリーダーを、みんなが求めています。
4年間、本当にさまざまな問題がありました。だけど、諦めたことは一度もありませんでした。
人は逆境のときに成長し、順調なときに衰退するものだと思います。
逆境が未熟な私を強くしてくれました。
5年目のスタート。
ご利用者の幸せを願い、ご利用者の幸せを実現してくれる職員を大事に、日々精進してまいります。
著書のご案内
-
山口晃弘氏の著書が弊社より発行されています。
テーマは、介護現場の「リーダーシップ」と「人材育成」です。現場の職員から「一緒に働きたい!」と思われる人気者リーダーになるために、役立つ知識、使えるツール、心揺さぶられるエピソードが満載の一冊です。現場のリーダーからも「この本に出会えてよかった」「求められているリーダーについて深く理解できた」「実践にもすぐに役立つ」など、嬉しい感想を頂いています。ぜひ、ご一読ください!
介護リーダー必読!
元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダーシップの極意
定価 本体2,000円(税別)
A5判、218ページ
ISBN978-4-8058-8278-8