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山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術

山口 晃弘(やまぐち あきひろ)

超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。

プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)

介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)、『介護リーダー必読! 元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダシップの極意』(中央法規出版、2021年)がある。

闘魂よ、永遠なれ

 

令和4年10月1日、元プロレスラーで、元参議院議員でもあったアントニオ猪木さん(本名、猪木寛至)がご逝去されました。

 私の人生には、常に猪木さんの存在がありました。
 私は中学校に入学すると、同級生からいじめを受けるようになりました。登下校、休み時間が怖くて仕方ありませんでした。そんなときでも、テレビで猪木さんの闘志あふれるファイトを観るたびに勇気づけられていました。

 30年くらい前、参議院議員だった猪木さんに、障害者施策について話をしたことがあります。私の話にしっかり目を見て、耳を傾けてくれた猪木さんは、「馳(現石川県知事)、この方に名刺を渡しなさい」と指示した後、私のあごを指でくりくりっとさわり、「俺と一緒だなぁ」と言って、にっこり笑いました。
 このときの優しい笑顔は、一生忘れることはありません。

 猪木さんはプロレスラーとしての活躍はもとより、政治家としての功績も素晴らしかったと私は思います。

 湾岸戦争の最中、平和と人質解放を訴えるため、バクダッドへ向かいました。この猪木さんの行動に対して、世間は「売名行為」「レスラー上がりの国会議員に何ができる」と揶揄する声が大半でした。しかし、猪木さんは世間の声をものともせず、何度も現地へ行き、大統領の側近など要人たちと会談をしました。
 このとき、人質の家族であった「人質家族婦人会」の方たちは、「私たちは口ばかりで何もしてくれない政府より、行動してくれる猪木さんを信じてついていきます」と話していました。
 その後、現地でプロレスなどのイベント「平和の祭典」を実現させ、当時のイラク政府は「我らの友人、猪木を手ぶらで帰らせるわけにはいかない」と日本人人質全員の解放を決めたのです。
 このとき、猪木さんのファンであることを心から誇りに思いました。

 晩年は、心アミロイドーシスという難病に苦しんだ猪木さん。
 苦しいリハビリに耐えながら、「本当ならギブアップです。でも、ファンが許してくれませんよ。ただね、ファンだけでなく、自分自身も今まで言ってきたことが嘘になっちゃうから」と語っていました。猪木さんは闘病中、「いま最強の敵と闘っています。俺自身です」と言っていたように、闘魂とは、己に打ち克つこと、だったのではないでしょうか。

 私の中では、最期まで、世界一強いアントニオ猪木。最期まで、燃える闘魂アントニオ猪木でした。

 私の人生には、常に猪木さんの存在がありました。常に私の心の支えでした。
 どんなに辛くても、苦しくても、猪木さんがいることが私の支えでした。生きる勇気でした。

 10月2日から、私は初めて猪木さんのいない世界を生きています。
 まだ心が整わないですが、勝手に闘魂伝承した末端のファンとして、介護、福祉業界に元気を発信していきます。

 闘魂よ、永遠なれ。
 猪木寛至さんは亡くなりましたが、燃える闘魂アントニオ猪木は、私たちの心の中で、永遠に生き続けます。

著書のご案内

山口晃弘氏の著書が弊社より発行されています。
テーマは、介護現場の「リーダーシップ」と「人材育成」です。

現場の職員から「一緒に働きたい!」と思われる人気者リーダーになるために、役立つ知識、使えるツール、心揺さぶられるエピソードが満載の一冊です。現場のリーダーからも「この本に出会えてよかった」「求められているリーダーについて深く理解できた」「実践にもすぐに役立つ」など、嬉しい感想を頂いています。ぜひ、ご一読ください!

介護リーダー必読!
元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダーシップの極意
定価 本体2,000円(税別)
A5判、218ページ
ISBN978-4-8058-8278-8