山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術
超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。
- プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)
-
介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)、『介護リーダー必読! 元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダシップの極意』(中央法規出版、2021年)がある。
敬老の日と介護職のやりがい
今年の敬老の日は、9月19日でした。
コロナ禍ではありますが、高齢者施設にとって、やはり敬老の日は特別な日。きっと対策しながら、それぞれの施設でお祝いしたことと思います。
国民の祝日に関する法律第2条によれば、敬老の日とは、「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」とされています。
このことからいえば、私たちの仕事は敬老の日が特別な日というより、普段の仕事の延長線上にあるお祝いの日、という認識で良いかと思います。
多年にわたり社会につくしてきた方たち。私たちは、この方たちのこれまでの人生、生きてきた時代背景などに目を向け、常に敬う気持ちで接することができているでしょうか。
介護の現場で、「疲れたー」などという大きな声が聞こえてくることがあります。
確かに疲れるでしょう、介護が身体を酷使する仕事であることは否定しません。
ただ、数多にあるサービス業の中で、お客様のいるところで「疲れたー」などと言っているサービス業がほかにあるでしょうか。
「介護は究極のサービス業」などという人もいます。それを実践できている素晴らしい施設もあるのかもしれませんが、私の経験上では、そう思ったことはありません。
介護を受ける側の気持ちになってみてください。自分のお世話をすることで、「疲れたー」と言われたとしたら、どう思うでしょうか。「ごめんなさい」と心で思っているご利用者がいるかもしれません。
「ご利用者からの『ありがとう』がやりがいです」という人は少なくありません。
「ありがとう」がやりがいであって、「ごめんなさい」ではないですよね。
聖人君子じゃないんだから、愚痴ぐらいこぼしたって構いません。
ただ、時と場を考えなければいけません。
10月から「介護職員等ベースアップ等支援加算」が介護報酬に盛り込まれます。
介護職員の給与水準を上げることが目的ですが、介護報酬に盛り込まれることによって、ご利用者の負担が増えるのです。
長期化するコロナの影響、物価高騰の影響を受けているのは、私たち介護職だけではありません。
誰しもが厳しいなかで、私たちの給与がご利用者の負担があって上がります。
今のままでいいですか。それは国が決めたことだから仕方ないですか。
介護職員の給与を上げることは、私も必要だと思います。ただ、それに見合ったサービスを提供することは、それ以上に必要なことだと思うのです。
これを機に、私たちにできることを、それぞれの職場で話し合ってみてはいかがでしょうか。
著書のご案内
-
山口晃弘氏の著書が弊社より発行されています。
テーマは、介護現場の「リーダーシップ」と「人材育成」です。現場の職員から「一緒に働きたい!」と思われる人気者リーダーになるために、役立つ知識、使えるツール、心揺さぶられるエピソードが満載の一冊です。現場のリーダーからも「この本に出会えてよかった」「求められているリーダーについて深く理解できた」「実践にもすぐに役立つ」など、嬉しい感想を頂いています。ぜひ、ご一読ください!
介護リーダー必読!
元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダーシップの極意
定価 本体2,000円(税別)
A5判、218ページ
ISBN978-4-8058-8278-8