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山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術

山口 晃弘(やまぐち あきひろ)

超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。

プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)

介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)、『介護リーダー必読! 元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダシップの極意』(中央法規出版、2021年)がある。

「門前の小僧習わぬ経を読む」

 5月が終わりました。4月に入職した新人職員は2か月を経過し、そろそろ「ひとりだち」などという言葉が聞こえてくる頃でしょうか。
 そもそも介護職にとって、このひとりだちというのは、何ができるようになることなのでしょう。みなさんの職場では、何をもって「ひとりだち」としていますか。

 このブログがアップされる6月1日は、私が高齢者福祉の世界に入職した日です。あれから22年が経ちました。
 当時、はじめて介護の仕事をする私にとって、何もかもが新鮮でした。
 現在の特養は、要介護3以上の方しか入居できなくなりましたが、当時は要介護1、2の方もいらして、生活上介護は要するものの、いわゆる重度の方ばかりでもありませんでした。
戦争が終わって50年余りだったこともあって、当時のご利用者は戦時中のお話、戦後のお話もたくさん聞かせてくれました。私はご利用者とお話しすることが、とにかく好きでした。入浴介助なんて、一対一になれる絶好の機会。「旦那さんとどこで出会ったの?なんて呼び合っていました?」なんて質問すると、大笑いしながら教えてくれたり。
そうしているうちに、いつの間にか私は、ご利用者の人生史、ご家族のことなどについて、圧倒的な情報量をもつ職員になっており、それが私の自慢でもありました。

 私が新人で入職した頃、先輩たちが教えてくれたのは、ほとんどが業務のこと。要するに、施設が決めた時間割や記録の書き方などでした。
ご利用者のことについて、介護の知識や技術について、教えてくれる先輩はほとんどいませんでした。だから私は、自分が先輩になったとき、後輩たちにご利用者のこと、介護の知識や技術について教えられるようになりたいと思いました。「すげえな」って思われる先輩になりたかったのです。

 「ひとりだち」とは、業務…時間割どおりに動けるようになることでしょうか。介護職という仕事の醍醐味は、そこではない気がします。
 介護は人生の晩年を支援する素敵な仕事。素晴らしい仕事です。
 先輩たちには、大いに介護を語ってほしい。語るのが苦手なら、その姿を見せてあげてほしい。
 そんな職場で働いていたら、後輩たちはいつの間にか「ひとりだち」していくものです。

著書のご案内

山口晃弘氏の著書が弊社より発行されています。
テーマは、介護現場の「リーダーシップ」と「人材育成」です。

現場の職員から「一緒に働きたい!」と思われる人気者リーダーになるために、役立つ知識、使えるツール、心揺さぶられるエピソードが満載の一冊です。現場のリーダーからも「この本に出会えてよかった」「求められているリーダーについて深く理解できた」「実践にもすぐに役立つ」など、嬉しい感想を頂いています。ぜひ、ご一読ください!

介護リーダー必読!
元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダーシップの極意
定価 本体2,000円(税別)
A5判、218ページ
ISBN978-4-8058-8278-8

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