メニュー(閉じる)
閉じる

ここから本文です

山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術

山口 晃弘(やまぐち あきひろ)

超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。

プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)

介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)、『介護リーダー必読! 元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダシップの極意』(中央法規出版、2021年)がある。

「振り上げた拳」

 この世界はいったいどこへ向かっているのでしょうか。
 21世紀の世界で、武力行使の戦争が起きました。戦闘機が飛び、戦車が走り、ミサイルが撃たれ、建物が壊れ、人々の命が奪われていく。
 テレビやネットのなかで起きていることではありません。これは現実の世界で起きていること。遠くにいる私たちは、電源を切れば目の前の凄惨な光景は消えますが、現実に戦地にいる多くの人々は、自分の命が、愛する家族の命が奪われるかもしれない恐怖のなか、いまこの瞬間も震えながら生きているのだと思います。
 現実は映画やゲームの世界と違う。人の命を軽視している。罪のない人たちの命を奪う戦争に、どのような大義が成り立つのでしょうか。

 人間には、“勝ち負け”や“正義と悪”だけでなく、余白というものがあってほしい。問題が生じたときに、「自分にも責任があるのではないか」と思えるところが、人間の美徳です。
 すべての人間が“自分だけが正しい”と主張して、一歩引いて自分を見ることができなくなってしまったら、どのようなことが起きるでしょう。
 その考え方こそが争いを生み出すのです。争いが始まったら、それこそ後に引けず、振り上げた拳を下ろすことができなくなります。
 これは戦争だけではありません。私たちの普段の生活、家庭や組織のなかにも起こり得ることです。
 介護現場でも、さまざまな職種、立場の人がいます。介護職、看護師、相談員、ケアマネジャー、栄養士、リハビリ職。それぞれ大事にしていること、背負っているものがあるでしょうし、学んできたことも違うし、ものを見る視点も違うかもしれません。
だから、ときには意見がぶつかることもあります。それをすべての人が“自分が正しい”と主張して、誰も他者の意見、考え、価値観を受け入れなかったら、どうなるでしょう。人間関係が悪くなり、現場の空気が悪くなり、職員みんなが嫌な思いをします。そして何より、ご利用者が本来受けるべきサービスを受けられなくなってしまいます。

 戦争は、多くの罪のない人たちが被害にあいます。争いごとが起きると、いつも被害を受けるのは、罪のない人たちなのです。
 人間には知恵があり、理性があり、良心があります。だから、たとえ考え方や意見、価値観が違っても、互いを理解することに努め、話し合うことが大切です。
 戦争に英雄なんていません。争いを避け、相手を尊重し、誰も傷付けずに問題を解決する人こそ、英雄なのだと思います。

著書のご案内

山口晃弘氏の著書が弊社より発行されています。
テーマは、介護現場の「リーダーシップ」と「人材育成」です。

現場の職員から「一緒に働きたい!」と思われる人気者リーダーになるために、役立つ知識、使えるツール、心揺さぶられるエピソードが満載の一冊です。現場のリーダーからも「この本に出会えてよかった」「求められているリーダーについて深く理解できた」「実践にもすぐに役立つ」など、嬉しい感想を頂いています。ぜひ、ご一読ください!

介護リーダー必読!
元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダーシップの極意
定価 本体2,000円(税別)
A5判、218ページ
ISBN978-4-8058-8278-8