山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術
超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。
- プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)
-
介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)、『介護リーダー必読! 元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダシップの極意』(中央法規出版、2021年)がある。
「沈まぬ太陽」
2月、51歳になりました。
「人生100年時代なんだから、まだ折り返しだよ」
そんな励ましの言葉? もいただきました。
60代、70代でバリバリ活躍されている方も大勢います。そういう諸先輩方を見ていると、まだまだ頑張らなきゃいけないと思うし、年齢を言い訳にしたくありません。
いつでも今をもって全盛期と言いたい気持ちですが、着実に年齢的な体力の衰えは感じはじめています。
昨年末から、身の回りにさまざまな出来事が起こりました。父の死、施設内に新型コロナのクラスター発生、大切な友との別れ…。ほかにも書けないことがさまざま起こりました。
精神的なダメージが身体に与える影響も大きいと感じます。心と身体のバランスが崩れる。襲いかかる試練に、「負けてたまるか」と立ち向かうスピリットはあるのに、どうしても身体がついてこない。若い頃だったら、こんなことはなかった。この悔しさ、絶望感が歳をとるということだろうか…。
頭の中に、さまざまな思いが駆け巡り、苦しい時間が続きました。
そんななかで、誕生日を迎えました。
生活相談員が「施設長、Zoomが動かないんですけど、ちょっと見てもらっていいですか」と声をかけてきたので部屋に入ると、職員たちが待ち構えていて「お誕生日おめでとうございます!」とサプライズでお祝いをしてくれました。
密にならないように距離をとりながらも、みんなのやさしい気持ちがいつも以上に伝わってきました。施設内にクラスターが発生し、休みを取れない私への労いのやさしさが胸にしみました。
施設内クラスターは1フロアに猛威をふるい、保健所の方が実地調査に来ました。
現状の報告や今後の課題などを話しました。
会話のなかで私が「職員たちの気持ちを聞くことが大事だと思っています」と話したら、保健師の方はにっこり微笑まれ、「施設長の気持ちは誰が聞いてくれますか?」と聞き、「私でよければ話してください」と言ってくれました。
この言葉に、私のなかのダムが決壊してしまいました。
私は普段、「元気ですかー!」などとあいさつ代わりにしていますし、誰に心配されても「絶好調です!」などと答えています。
職員たちも保健師の方も、人の言葉を額面通りにとらえず、相手の気持ちを憂いてくれる素敵な人たち。
常に強い自分でありたいと思いますが、残念ながら私は自分一人では強く生きられそうにありません。
支えてくれる人、応援してくれる人がいるから強くありたいと思い、大切な人たちを守りたいから、もっともっと強くなります。
著書のご案内
-
山口晃弘氏の著書が弊社より発行されています。
テーマは、介護現場の「リーダーシップ」と「人材育成」です。現場の職員から「一緒に働きたい!」と思われる人気者リーダーになるために、役立つ知識、使えるツール、心揺さぶられるエピソードが満載の一冊です。現場のリーダーからも「この本に出会えてよかった」「求められているリーダーについて深く理解できた」「実践にもすぐに役立つ」など、嬉しい感想を頂いています。ぜひ、ご一読ください!
介護リーダー必読!
元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダーシップの極意
定価 本体2,000円(税別)
A5判、218ページ
ISBN978-4-8058-8278-8