山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術
超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。
- プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)
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介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)、『介護リーダー必読! 元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダシップの極意』(中央法規出版、2021年)がある。
「めぐりくるSEASON」
残暑が厳しいですが、少しずつ陽の落ちるのが早くなってきました。
夏の終わりが近いのを感じます。私は夏が好きなせいか、寂しいです。
青い空と青い海、ギラギラした太陽、夏は青春を象徴している季節のように感じます。
たかだか50年しか生きていませんが、時折、人生を振り返って、「いろいろあったなぁ」と思うことがあります。
辛いことが多かったな…。でも、楽しいこともたくさんあった。
一緒に汗を流したり、一緒に夢を語り合ったり、忘れたくない想い出、忘れたくない人がいます。
でも、いま私の周りに、その人たちはいません。
きっとどこかで私の知らない人たちと、笑ったり、泣いたりしながら、一生懸命生きているのだと思います。
もう一生会うことはないのかもしれないけれど、いつか偶然どこかで会えたら、「久しぶりだね」と笑って会いたいです。
高齢者の方たちにも、そんな想いがあるんじゃないかな…。
施設に入居したり、コロナ禍だったり、会いたくても会えない人がたくさんいる。
口には出さなくても、「いろいろあったなぁ」って思っているんじゃないかな…。
忘れたくない想い出、忘れたくない人がいるんじゃないかな…。
91歳の女性入居者Mさんは、施設に入居してから「死にたいです。生きる意味がわかりません」と繰り返し、絶望していました。
そんなとき、女性介護職のAさんは、Mさんの気持ちを察し、Mさんの忘れたくない想い出、忘れたくない人に、一緒に会いに行きました。
施設に帰って来たMさんは、出迎えた私に向かって、
「まさか私の人生に、まだこんなことが待っているとは、思ってもみませんでした!」
と、胸を張って誇らしげに言いました。
私は、すべての高齢者の口から、この言葉が聞きたいです。
心優しい介護職がたくさんいてくれたら、人生に絶望してしまった高齢者の方たちが、また生きる意欲を取り戻してくれる…。そう信じています。
最後に…。
このブログのように、世間に発信できる媒体を与えていただいたことに、心から感謝します。
私の人生に出逢ってくれた人たちが、もしかしたらどこかで私を見つけてくれて、「山ちゃん、元気にやってんなぁ。変わらないなぁ」と思ってくれたら幸せです。
だから私は、これからも「元気ですかーっ!」と発信し続けます。
新刊のお知らせ(編集部より)
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このたび、山口晃弘氏の著書が発行されました!
テーマは、介護現場の「リーダーシップ」と「人材育成」です。現場の職員から「一緒に働きたい!」と思われる人気者リーダーになるために、役立つ知識、使えるツール、心揺さぶられるエピソードが満載の一冊です。ぜひ、ご一読ください!
介護リーダー必読!
元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダーシップの極意
定価 本体2,000円(税別)
A5判、218ページ
ISBN978-4-8058-8278-8