山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術
超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。
- プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)
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介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)、『介護リーダー必読! 元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダシップの極意』(中央法規出版、2021年)がある。
「第二の人生なんてない」
第二の人生なんてないよ。
みんな一度きりの人生を精一杯生きています。
十代から二十代まで、私は空手に没頭していました。当時の私には、空手で日本一になること以外、頭の中になかった。そう言っても過言ではないくらい、青春のすべてを空手に捧げていました。残念ながら、全日本選手権でチャンピオンになることはできませんでした。29歳で現役を引退し、次の道を行くことになります。それがちょうど2000年。偶然にも、介護保険がスタートした年でした。
長年、力の世界で生きてきた私にとって、福祉の世界は異次元のような世界でした。だからこそ、挑戦する甲斐があったのだと思います。
あれから21年。
いま社会福祉施設の施設長をしています。人生なんてわからないものです。21年前の私は、いまの私を想像もしませんでした。これが人生というものなのかもしれません。
先日、ある方からこのことを「第二の人生ですね」と言われて、違和感を覚えました。
誤解のないように言えば、その方は良い意味で言ってくれたことです。それはわかっています。
ただ、私の人生は一度も終わっていない。
福祉の世界でいまの立場になれたのは、空手で養われた努力する力と精神力の結果だと思っています。空手を始めて強くなろうと思ったのは、学校でいじめにあっていたからだと思います。
人生はすべてつながっています。すべてはそこに導かれる物語なのだと私は思っています。
高齢になり、介護を受けるようになったご利用者の方たちも、いまもなお、一度きりの人生を精一杯生きている最中だと思います。
あなたは、自分の半分も生きていない若者に、なれなれしい口をきかれたり、ぞんざいな態度を取られたりしたら、腹が立ちませんか? 私は立ちます。
あなたは、全裸になって機械の上に乗せられ、お風呂に入ることができますか? 隠すところも隠してもらえず、デリカシーのない会話をされたら、許せますか? 私は許せません。
80歳になっても、90歳になっても、男性はいつまでも男性。女性はいつまでも女性です。
自分だったら…と、自分の言動を振り返ってみてください。
人生に第二も第三もない。みんな一度きりの人生を精一杯生きているのです。
私はいつか空手で現役復帰をするつもりです。
みんなが「もうやめておけ」と言う年齢になった頃、落とし物を取りに行きます。
新刊のお知らせ(編集部より)
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このたび、山口晃弘氏の著書が発行されました!
テーマは、介護現場の「リーダーシップ」と「人材育成」です。現場の職員から「一緒に働きたい!」と思われる人気者リーダーになるために、役立つ知識、使えるツール、心揺さぶられるエピソードが満載の一冊です。ぜひ、ご一読ください!
介護リーダー必読!
元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダーシップの極意
定価 本体2,000円(税別)
A5判、218ページ
ISBN978-4-8058-8278-8