山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術
超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。
- プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)
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介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)、『介護リーダー必読! 元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダシップの極意』(中央法規出版、2021年)がある。
「夢を眠らせるな」
オリンピックが開幕しました。
本来ならば、昨年開催だったものが一年延期となりました。それでもコロナの状況は改善されず、世論は中止を支持する意見が大半を占めました。開催の是非を問う気はなく、私が凄いと思うのは、この日を迎えることができた選手たちです。
さまざまな予選を勝ち抜き、オリンピック出場の切符を手に入れた選手たち。すべての選手が、2020年7月に最高のコンディションをもっていこうと、生活のすべてをこの日のために、想像を絶するほど繊細な調整をしてきたはずです。その大会が延期となりました。並の人間なら、この時点で緊張の糸が切れてしまいます。「また一年、この苦しい生活を続けるのか…」と。それは私たちの考えでは及ばない絶望感ではないかと思います。
それでも選手たちは、この日を迎えました。最後の最後まで…、開催するのかしないのかさえ、直前までわからなかったオリンピックに合わせ、最高のコンディションをもってきた選手たちは、超一流のアスリートです。
私たちは、彼らから何を学ぶべきなのでしょうか。
これだけの悪条件のなかで闘う選手たちは、テレビのなかのウルトラマンや仮面ライダーじゃない。私たちと同じ生身の人間です。
母国のため、仲間のため、愛する家族のため、競技の繁栄のため、自分のプライドのため、生きていくため…。闘う理由はそれぞれ違うかもしれませんが、どんな悪条件でも、人のせいにせず、環境のせいにせず、強い相手に立ち向かっていく彼らの姿を見て、私たちは勇気をもらうはずです。
その勇気のフィルターを通して、自分を見つめ直してみましょう。
この仕事を始めるときに描いていた夢。自分の思い描いていたような介護ができない。仕事ができない。それを、やれあいつが悪い、あれが悪いこれが悪い、と人や環境のせいにばかりしていませんか。どんな高い理想をもっていたとしても、そんなあなたに、人がついてくるでしょうか。
オリンピックで闘う選手たちから勇気をもらったなら、あなたも人や環境のせいにばかりしていないで、どんな困難にも立ち向かう勇気をもちましょう。
あなたが選手たちから勇気をもらったように、それを見ている人たちが、きっとあなたから勇気をもらい、勇気の連鎖が現場を変えるはずです。
新刊のお知らせ(編集部より)
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このたび、山口晃弘氏の著書が発行されました!
テーマは、介護現場の「リーダーシップ」と「人材育成」です。現場の職員から「一緒に働きたい!」と思われる人気者リーダーになるために、役立つ知識、使えるツール、心揺さぶられるエピソードが満載の一冊です。ぜひ、ご一読ください!
介護リーダー必読!
元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダーシップの極意
定価 本体2,000円(税別)
A5判、218ページ
ISBN978-4-8058-8278-8