山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術
超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。
- プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)
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介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)、『介護リーダー必読! 元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダシップの極意』(中央法規出版、2021年)がある。
「人間の心は消耗品だよ」
「問題は自分の外にあると考えるならば、その考えこそが問題である」
『7つの習慣』の著者で有名なスティーブン・R・コヴィーのこの言葉を以前に紹介したことがありました。
逆説的になりますが、問題をすべて自分の中にある、と考えてしまう人もいます。
真面目な人、やさしい人、といった風に人をラベリングするのは好きではありませんが、そう感じさせる人ほど、こういった傾向にある気がします。
たとえば、事故が起きたとき、仕事でミスをしたとき、人間関係がこじれたとき、「私が悪いのです」と申し出てきたり、そう思って自分を責めて、退職を願い出てきたり…。
何かトラブルがある度に、自分が悪いと責めていたら身がもたないよ。
人間は長所もあれば短所もあります。たとえばあなたが、周りの人と比べて、記録が上手に書けなかったとします。「別にいいじゃん、記録なんか上手に書けなくたって」と同僚に言われたらどうでしょう。「そうだ、そうだ! 別に記録なんか下手だっていいや」とは思えないですよね。こんなこと、何の励ましにもなりません。記録は下手よりも、上手に書けるほうがよいに決まっています。記録が下手なことは、確かにプラスかマイナスかでいったら、マイナスです。
でも、そのことであなたが「ダメな人」になってしまうわけではありません。
人生は「足し算・引き算」です。たとえあなたが「記録が苦手なこと」によってマイナス何点かになっても、あなたは、それを補って余りある素敵なものをもっているはずです。自分を責めてしまう真面目な人柄や相手を思いやるやさしい性格など、何点引かれたって、あなたにはたくさんのプラスがあります。
この「足し算・引き算」は、とても繊細なもので、日常的に変化します。悪口を言われたり、嫌なことをされたりすれば、人は傷つき「引き算」ばかりしてしまいます。人の心は傷つきすぎると、いつか壊れてしまうのです。逆に、やさしくされたり、励まされたりすると、安らぎを覚え「足し算」をすることができます。この繊細な「足し算・引き算」をしながら、人は生きているのです。人間の心は消耗品。だから歳を重ねている人は、大きなダメージを受けると壊れてしまいます。
人にやさしくしましょう。親切にしましょう。そして、その大切さを知っているなら、頑張っている自分を認めてあげて…、「足し算」をしてあげてください。引き算ばかりしていると、あなたの心はいつか壊れてしまいます。
自分の心も、他人の心も、消耗品だからこそ大切に扱う。そんな社会にしていきましょうね。
☆セミナーのお知らせ☆
7月14日(水)かながわ福祉サービス振興会様主催のかなふくセミナー『~介護リーダーのリアルな悩みを解決!~ リーダーシップの極意』が開催されます。
会場は横浜ですが、今回はオンラインでも同時開催されますので、よろしければ是非ご参加ください。
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https://www.kanafuku.jp/plaza/seminar/detail.php?smn_id=2744
新刊のお知らせ(編集部より)
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このたび、山口晃弘氏の著書が発行されました!
テーマは、介護現場の「リーダーシップ」と「人材育成」です。現場の職員から「一緒に働きたい!」と思われる人気者リーダーになるために、役立つ知識、使えるツール、心揺さぶられるエピソードが満載の一冊です。ぜひ、ご一読ください!
介護リーダー必読!
元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダーシップの極意
定価 本体2,000円(税別)
A5判、218ページ
ISBN978-4-8058-8278-8