山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術
超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。
- プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)
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介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)、『介護リーダー必読! 元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダシップの極意』(中央法規出版、2021年)がある。
「感謝のない人間に成長はない」
先日、法人の永年勤続表彰式が開催されました。
法人設立から24年。開設当初から働いてくれている職員が、いまも活躍してくれています。本当にすばらしいことだし、感謝してもしきれません。
松下幸之助さんは、「事業は人なり」という言葉を残しました。事業を支え、継続していけるのは、人の力があるからです。さまざまな事情があって、多くの人が去っていきます。そのようななかでも、長きにわたり会社を支えてきてくれた人に、最大級の賛辞を贈る。永年勤続表彰は、組織にとって大切なイベントです。
今回の表彰式で、私の勤務する施設ではデイサービスの主任Uさんが代表であいさつをしてくれました。彼女は今年で勤続15年。苦労人です。私が知るこの4年間のなかでも、彼女はたくさんの苦労を乗り越え、主任として現場をまとめてきてくれました。
とくにこの春に施設内で発生した新型コロナウィルスの影響は大きく、広い範囲まで影響を及ぼし、いまもなお続く長期的な被害を受けています。
しかし、表彰式での彼女のあいさつは、自分の苦労よりも、上司や同僚、仲間たちへの感謝にあふれ、ご利用者の笑顔に支えられてきたと、周りの人たちへの感謝の言葉ばかりでした。その誠実な気持ちに心打たれ、涙が出ました。
私はいまの職場に勤務してまだ4年です。一年半前から施設長をさせていただいていますが、それは彼女たちのような諸先輩方が支えてくれるからであり、これまで施設を守り続けてきてくれたからにほかなりません。
組織の上に立つ人は、どうして上に立てているのかを忘れないようにしなければいけないと思います。自分が組織を支えているなどと過信することのないように。
支えてくれているのは、長く勤めてくれている方たち。現場の方たちです。みんなへの感謝を忘れないこと。いやしくも人の上に立つ者は、人の役に立つ人でありたい。自分のやりたいことより、職員たちのやりたいことを叶える人でありたい。私はそう思います。