山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術
超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。
- プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)
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介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)、『介護リーダー必読! 元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダシップの極意』(中央法規出版、2021年)がある。
プロフェッショナル ~人間の流儀~
先日、NHKの「プロフェッショナル ~仕事の流儀~」という番組をはじめて観ました。
今回、特集されていたのは、俳優の吉永小百合さん。14歳の時に映画デビューした吉永さんは、現在74歳。60年もの間、第一線で活躍し続ける素晴らしい俳優さんです。
インタビューのなかで吉永さんは、「自分はプロとアマチュアの狭間」と言っていました。60年間トップを走り続け、120本の映画に出演したという吉永さんが、自分を「プロと思わない。そう思ってしまったら、明日からお休みになっちゃうから」と言う謙虚な姿勢でいるのです。私は、この姿勢こそが「プロフェッショナル~仕事の流儀~」ではないかと思いました。慢心してしまったら、そこで成長が終わってしまう、努力することをやめてしまう…。吉永さんから、そんなプロの凄みを感じました。
私たち、福祉を職業とする者も、プロフェッショナルを目指していくべきだと思います。
吉永さんの職業は俳優です。俳優とは、舞台、映画、テレビなどで役を演じる人のことを指しています。私たちの職業「福祉」では、一体、何を明確に行えばプロフェッショナルといえるのでしょうか。「福祉」とは、昔からいわれるように「幸せ」や「豊かさ」を指しています。ということは、私たち「福祉」を仕事にする者のミッションは、人を幸せにし、豊かにすることなのかもしれません。
それを実現していくなかでは、私たちの職業も、ある意味では「俳優」と同じではないでしょうか。
私たちの仕事にカメラは回っていませんが、ご利用者、ご家族への応対、職員同士の会話、指導、その時その時、求められている自分を演じている気がします。
これは働き始めてから始まったことではなく、家庭で、学校で、職場で、友だち同士、家族の間でさえも、人はどこか求められる自分を演じているのではないでしょうか。
そういう意味では、人間はみんなActor(俳優)なのかもしれませんね。
自分が演者であるなら、他の人もまた演者です。
強く見える人、順風満帆に見える人も、そんな自分を演じて、見せているのかもしれません。
人の本質を見られる人間になりたい。そうでなければきっと人を「幸せ」や「豊か」にすることはできないから。
ご利用者にも、ご家族にも、職員にも…。人の本質をとらえた支援のできる人間でありたいです。