山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術
超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。
- プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)
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介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)、『介護リーダー必読! 元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダシップの極意』(中央法規出版、2021年)がある。
経営に必要なものは
早いもので令和元年度も半年が経ち、下半期がスタートしました。
今年度の事業計画や予算と照らし合わせ、下半期での達成に向けて目標の修正や補正予算を検討する時期になっています。新年度が始まる前、事業計画や予算を組む時には思いもしなかった修繕などが、経営者を悩ませます。でも、福祉施設ですから、利用者さんのために必要な修繕や購入はしたいですよね。よい介護をするためには、ある程度の設備投資も必要です。
それにより、介護の質と業務の効率がよくなれば、CS(顧客満足)とES(従業員満足)の両方を得ることができます。
経営に必要なものは何でしょう?
京セラの創業者で、経営破綻した日本航空を再建した稲盛和夫さんは、経営に必要なのは燃える闘魂だ!と著書のなかで言っています(『燃える闘魂』毎日新聞社、2013)。素敵ですね。大いに共感します。経営、改革をしていくには、どんな困難にも屈しない闘争心、燃える闘魂が必要だと私も思います。
そして、経営に必要な資源は何でしょう?
よく言われるのは「人、モノ、カネ」これに加えて昨今では「情報、時間、知的財産」などと言われます。私は、社会福祉法人にとってもっとも大事な資源は、やはり「人」だと思います。ここで言いたいのはナレッジワーカー(知識労働者)と言われるようなエリートという概念ではなく、すべての人を大事にする、大切にするという広義の意味です。
経営には当然利益が必要です。しかし、その利益を生み出しているのは現場です。
優秀な経営者であっても、現場が利益を生み出してくれなければ経営は成り立ちません。現場で日々、汗をかいて、シフトを守ってくれている職員たちがいるから、社会福祉法人の経営は成り立つのです。経営者は、現場に体も頭も心も向けましょう。会社に愛され大事にされた職員(人)が、その愛や大事にされた気持ちを利用者さん(人)に還元してくれるのだと思います。
地域も人、社会も人、行政も人、取引先も人、アウトソーシングしていてもそこで働くのも人。
経営に必要で、もっとも大切にすべき資源は「人」だと私は思います。