山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術
超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。
- プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)
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介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)、『介護リーダー必読! 元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダシップの極意』(中央法規出版、2021年)がある。
介護はミッション・インポッシブルか?
またしても、介護施設における虐待事件が起きてしまいました。
元職員の容疑者は容疑を否認しているとのことですが、被害にあった82歳の男性入居者の死因は腹腔内の多発損傷による出血性ショックで、肋骨も折れていたとのことです。
世間に衝撃を与えたこの報道ですが、多くの記事がこの事件の背景として、職員の重労働や人手不足などによるストレスをあげています。
あるアンケートによると、虐待が起きる原因として、業務の負担、仕事上のストレス、人材不足などが上位を占めているとのことです。
どうして介護の仕事だけが、こんなにも「大変な仕事」だと世間で扱われるのでしょうか。
私はこれまでアルバイトを含め、数々の仕事をしてきましたが、介護の仕事が一番大変だったなどと一度も思ったことがありません。
真摯に仕事に励んでいる職員はたくさんいます。ただ、人手不足に便乗し、志もなく努力もせず、だらだらと仕事している職員がたくさんいるのも事実です。
常識や社会性に欠け、他の仕事に就いたら通用しない、と思う職員も大勢います。人手不足で「辞められたら困る」と擁護されている介護業界だから成立している職員も少なくないのです。
業務の負担、仕事上のストレス、人材不足……これが虐待の起きる原因とされています。
「笑わせるな。世間はそんなに甘くない!」
世間には、もっとハードな仕事をしながら、ストレスを抱え、人手のないなか頑張っている人は山ほどいます。
それに、たとえ実際にハードな仕事だったとしても、それが人に暴力を振るうという理由になど、なるはずがありません。
「甘ったれるな!」
介護の仕事は、ミッション・インポッシブル(任務遂行不可能)ではありません。
虐待など認められるわけがありません。
まして隠ぺいなど、絶対に許されることではないのです。
周りがどう言おうと、私は正しいことをします。
真摯に介護・福祉の仕事に取り組む人たちの味方でありたいと思います。
「10人を守るために、1000人を敵に回す」
それが私の生き方です。