山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術
超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。
- プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)
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介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)、『介護リーダー必読! 元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダシップの極意』(中央法規出版、2021年)がある。
大切なことは・・・
先日、私の勤務する社会福祉法人敬心福祉会で、永年勤続表彰式が行われました。
今回も、勤続20年、15年……と長きにわたり法人で活躍された方達が表彰されました。毎年行われる永年勤続表彰ですが、組織というのは、長く勤務している人が支えてくれたから現在(いま)があることを実感します。
今回は、私が施設長になって初めての表彰式でした。三年前、現在の法人に転職し、人材育成担当という役割を仰せつかりました。この当時のことは今でも思い出すことがあります。みんなにとって私は、いきなり落下傘で現れた上司。多くの職員が私の存在を好意的に受け入れていませんでした。初日に指導してくれた職員に挨拶した際、「山口さんって、ここに何しに来たんですか?」と冷ややかに言われたことを思い出します。ここからみんなとどれだけ向き合ってきたかしれません。介護だ福祉だと言う前に、彼らの信頼を得ること。この三年間は、その闘いでした。
正直、心底苦しい時もありました。心が折れそうになる時も何度もありました。だけど、絶対に折れなかった。ブレなかった。
私のスタンスは、常に利用者本位であること、誰よりも職員の成長と幸せを願うこと。
今回使用した写真は、先日の永年勤続表彰式の際に撮ったものです。
自分が施設長になり、こんなに素敵なみんなの笑顔と一緒に写真に収まる日が来るとは……三年前は、誰も想像しなかったと思います。
自分を信じること、相手を信じること。信念を曲げないこと。ブレないこと。大切なことは、強力なパンチを打つことではなく、何度打ちのめされても立ち上がることです。
いま管理職やリーダー職で、部下との関係に悩んでいる方は多いと思います。私もいまでも悩みは尽きません。
それでも自分を信じ、相手を信じて待つことが大事です。使い古された言葉ですが、自分を信じてほしいから、相手を信じる。信頼関係を築くのに近道はありません。近道を探すからうまくいかないことが苦しくなる。近道などないと分かっていれば、どうってことないのです。