山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術
超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。
- プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)
-
介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)、『介護リーダー必読! 元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダシップの極意』(中央法規出版、2021年)がある。
RED/レッド
2011年に日本で公開されたブルース・ウィルス主演のハリウッド映画『RED/レッド』。
元CIAの腕利きエージェントだった主人公が、高齢になって引退しましたが、再び事件に巻き込まれて、かつての仲間と共に闘っていく、というお話です。
タイトルである「RED」(Rtired Extremely Dangerous)には「引退した超危険人物」という意味があります。
この映画の痛快なのは、既に引退した高齢者達が、若い者相手にひるむことなく闘い、遂には真実にたどり着く、という物語だからです。
実際に演じた俳優達は、往年のスター達。オールドファンにはたまらない展開が繰り広げられます。
主人公が若者から「じじい」と呼ばれるシーンがあり、主人公は憤慨して若者と闘い圧倒的な強さを見せます。この作品を通して感じられるのは、「年寄り舐めんじゃねえ!」というメッセージです。
かつての栄光は伊達じゃない。大変な時代を生き抜いてきた高齢者達の意地とプライドが勝利を呼び込み、ここに何とも言えない痛快さがあるのです。
私たちがお世話をさせていただく高齢者の方達は、要介護状態にあり、この映画のようにはいかないかもしれません。
しかし、きっと若い頃のようには思うように身体が動かず、悔しい思いをしているのではないでしょうか。「じじい」と呼ばれることはないと思いたいですが、「年寄り舐めんじゃねえ!」と思うシーンはあるかもしれません。
最期まで……というのは現実的じゃないかもしれませんが、たとえ介護を要することになっても、認知症になったとしても、晩年も自分らしく輝いて生きてほしいと思います。
先日、私の勤務する特養で、2階の女性利用者お二人が、職員の付き添いなく杖と歩行器で1階へ降りてきました。
「上手いこと抜け出してきましたね」と私が声をかけると、お二人は得意満面に笑いました。一緒に外に出て、行き交う車両やお花を見ながらお話していると、そのうちのお一人が自転車を見つけ、「あ~たまには自転車に乗りたい。自転車ですっ飛ばしたい!」と嬉しそうにおっしゃいました。
この夢は近く必ず実現します。
フロアに戻ると、職員から「勝手に行っちゃダメじゃないですか~」と心配(?)されていました。
お二人はもしかしたら「年寄り舐めんじゃねえ!」と思っていたかもしれませんね。