山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術
超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。
- プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)
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介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)、『介護リーダー必読! 元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダシップの極意』(中央法規出版、2021年)がある。
顔はごまかせない
3月26日、厚労省の発表によると、2017年度に高齢者虐待に関する相談や通報を受けた自治体が虐待と判断した件数は、前年度より752件多い17,588件でした。介護施設での虐待に関する通報・相談は1,898件。このうち510件が虐待と判断されたそうです。
毎年件数を更新する虐待ですが、これは世間の虐待に関する認識が高まったことによるものではないか、ともいわれています。実際には、過去にはもっと件数があったかもしれないということでしょう。
虐待というものは、職員や組織の意識によって認識されない場合もあるということです。恐ろしいことですね。
介護現場で起きる原因不明の怪我。ぶつけた場面は誰も見ていないが内出血ができている。だけど、この利用者は自分で動くことはほとんどない。つまり自分で怪我をする可能性は低い。排せつや入浴の介助の際にたまたま内出血ができているのを発見し、発覚する。職員達に問うが誰も身に覚えがないという。結局、原因は不明……
本当に身に覚えがないならそれでよいですが、「俺じゃない」「私じゃない」じゃなく、「俺かもしれない」「私かもしれない」と振り返ってみてはくれないものでしょうか。
人ひとり傷ついているのです。痛い、苦しい思いをしているのです。
「自分は関係ないから知らない」
そう思うなら、もはや福祉職ではありません。
二度とこのような痛い思いをさせないために、分析、対策をしてください。
「あの人は、プライドが高いから自分のミスを認めない」
こんな意見を聞くことがあります。
冗談じゃない。そんなものをプライドとはいいません。自分に非があるときは素直に認め、謝れる人こそ自分にプライドをもった人です。
自分のことを棚に上げ、人や環境のせいにばかりしている人が私は大嫌いです。
自分は何もせず、人のやることを批判したり、人の悪口ばかり言っているような人生に何の価値があるのでしょうか。
どんなに口で取り繕っても、顔はごまかせません。
自分の顔を鏡や写真で見てみればいい。誇り(プライド)のある顔をしていますか?
誠実に、真剣に生きている人は、良い顔をしています。
そういう人に、人は集まってくるのです。