山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術
超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。
- プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)
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介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)、『介護リーダー必読! 元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダシップの極意』(中央法規出版、2021年)がある。
惚れたらそこが男の死に場所
施設長になって2か月が経とうとしています。
12月の就任というのは、正直本当に厳しかったです。施設長資格取得のための5日間宿泊研修があり、年末年始はインフルエンザ対応に追われ、いまは次年度事業計画、予算、そして実践報告会です。
施設というのは生き物です。どんなに予定を立てていても、その通りに仕事なんてまずできません。日々なにかしらのトラブルがあり、奔走するのです。
まして12月の就任にあわせて、法人内の大幅な人事異動がありました。千歳敬心苑は、上層部がごそっと抜けた形になったのです。
そんな中、私を支えてくれているのが、昨年10月に就任したばかりの介護主任です。
私と彼は同世代。介護の世界に来たのはまだ5年前で、昨年受験要件を満たして介護福祉士の資格を取得したばかりです。
私が千歳敬心苑に入職した約3年前、彼はまだ介護業界に入って2年の一介護職として仕事をしていました。人を想う優しさ、仲間を大事にする正義感があり、時代錯誤な昭和の匂いのする男、というのが私の彼に対する当時の印象でした。考えの相違から何度か衝突したことはありますが、彼のことを一度も悪く思ったことはありません。彼の怒りはいつも誰かを想ってのことでした。
「いい男だな」
どんなに反発されても、それが私の彼に対する気持ちでした。
その後、当時まだ無資格だった彼をリーダーに昇任。カリスマ性のある彼はグループを牽引し、リーダーシップを発揮してくれました。そして昨年10月、介護主任に就任しました。
しかし、今の彼は介護主任という役職では申し訳ないくらいの幅広い仕事を受けもってくれています。そしてまた、日進月歩のスピードで成長してくれています。
腕っぷしも強いけど、誰よりも心根の優しい、いかした男です。
実は彼とは同世代というだけでなく、何よりウマが合うのは、お互い若い頃に相当やんちゃをしてきたというところです。
「まさか自分が福祉の仕事に就くとは……」
それが私たちに共通することです。
そんな彼が私は大好きで、心から信頼できるパートナーだと思っています。
強い奴ほど笑顔は優しい。強さは愛だからね。
二人で敬心苑を引っ張っていきます!!