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山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術

山口 晃弘(やまぐち あきひろ)

超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。

プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)

介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)、『介護リーダー必読! 元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダシップの極意』(中央法規出版、2021年)がある。

平和は達成されたか?

 今年に入り、「平成最後の〇〇」というフレーズがよく使われていました。
 平成最後の冬。いよいよ平成最後の年が始まろうとしていますね。

 平成が始まった年。私は高校3年生。17歳でした。あれから30年も経つのですね。当時の私は空手少年でした。空手の全日本チャンピオンになることが私の夢でした。それ以外の人生を考えたこともありませんでした。それが今では力とはまったく対極にある世界。福祉を仕事にしているわけですから、人生というのは本当に分からないものです。

 「平成」という年号には、「平和を達成する」といった意味が込められていたと記憶しています。
 この30年。日本は、世界は平和だったでしょうか。
 平和と呼ぶには、あまりにも辛い出来事が多くありました。

 介護、福祉の世界はどうでしょう。
 こちらもあまりよいニュースは多くありませんでした。最も大きな出来事は、介護保険のスタートかもしれませんが、こちらも課題は山積していて「平和」という言葉はどうもしっくりきません。
 世界の平和なんて途方もないけど、介護、福祉の世界の平和には、少しでも貢献したいです。
 「事故がない」「虐待がない」「身体拘束がない」それが介護業界の平和の定義でしょうか。「福祉」という言葉をネットで調べると、「幸せや豊かさを意味する言葉であり、すべての市民に最低限の幸福と社会的援助を提供するという理念を指す」とあります。
 最低限の幸福……、戦争を経て高度経済成長の時代を必死に生きて、家族を支え、会社を支え、社会に貢献してきた人の晩年が「最低限の幸福」では少し寂しくないでしょうか。

 千歳敬心苑では、この12月から利用者の目指すべき生活の指標として、かつて「新国民生活指標」として示された8つの領域を参考に、「(1)住む、(2)費やす、(3)働く、(4)育てる、(5)癒す、(6)遊ぶ、(7)学ぶ、(8)交わる」の取り組みを始めることになりました。これらを利用者の生活で実現することが、幸せな生活の実現だと考えました。千歳敬心苑の「新生活指標」です。
 「特養だから」から「特養なのに」を実現し、「歳を取ったから、介護を受けるようになったから」から「歳を取ったのに、介護を受けるようになったのに」といえる社会を実現します。

 大それた夢だけど、そんなことは誰かがやる、とみんなが思っていたら誰もやりません。千歳敬心苑の仲間たちと、志を同じにする仲間たちとともに、来年もまたこんな素敵な世の中を目指して邁進します。

 今年も一年、大変お世話になりました。
 来年もどうぞよろしくお願い致します。
 よいお年をお迎えください。

☆セミナーのお知らせ☆

 平成31年1月24日(木)横浜でセミナーを行ないます。
 新年第一弾で皆さまに元気を持ち帰っていただけたらと思います。
 是非ご参加ください。
 お申し込み・お問い合わせはこちらまで。
 https://www.kanafuku.jp/plaza/seminar/detail.php?smn_id=2170