山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術
超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。
- プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)
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介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)、『介護リーダー必読! 元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダシップの極意』(中央法規出版、2021年)がある。
「プロフェッショナル」
施設というところは、24時間365日動き続けています。そして、多くの職員が働いています。80人の職員がいれば、80人の人生観や職業観があり、仕事におけるスキルにも違いがあります。この職員達に同じ方向を向かせ、全員のスキルを高めていくことは、言うは易し。並大抵のことではありません。
施設見学や家族の面会があったとき、わずか5分、10分の時間であっても、そのとき見た「場面」が施設の印象になります。
たまたま見た場面が、「職員が慌ただしくしていた」「声かけしていなかった」「暗い印象があった」そう受けとられたとしたら、それがその人の施設に対する印象になります。
しかし、時代はSNS全盛。その人だけの印象にとどまりません。SNSによって発信された情報は、多くの人の目に触れ、多くの人が施設に対してそのような印象をもってしまうのです。
施設の言い分はどうでしょう。介護現場には、こんな言い分がありそうです。
「たまたまその時間は職員が少なかった」
「その日はメンツが悪かった」
私も現場の人間です。悔しい気持ちは分かります。口惜しい気持ちも……。
しかし、この言い訳を口にした瞬間、プロフェッショナルではなくなります。
私たちは、介護を職業としています。それは、介護のプロフェッショナルであるということです。
どの時間を切り取って見られても、人の目に耐えうる介護をしなければなりません。
メンツが悪い……事実そうなのでしょう。しかし、それは外部から見れば関係のないことです。その職員を育てられていないことは、組織の責任です。
ホテルでもレストランでも、お客様の苦情に対し、「メンツが悪かった」などの言い訳が成り立つわけがありません。
プロレスラーの長州力さんは、「俺は一日のうち数時間しか長州力でいられないが、アントニオ猪木は24時間アントニオ猪木だ」と言っていたことがありました。
言いたいことはすごく分かります。24時間プロフェッショナルでいることは並みの人間には難しいです。だけど、一日のうち決められた勤務時間はプロフェッショナルを演じきらなければなりません。
言い訳は通用しない。どの場面を切り取られても、人の目に耐えうる仕事をしたい。そういう組織にしたいと思います。