山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術
超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。
- プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)
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介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)、『介護リーダー必読! 元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダシップの極意』(中央法規出版、2021年)がある。
「今日は死ぬのにもってこいの日」
先日のちとCaféでは、俳優の森うたうさんをお迎えし、一人語りの舞台『今日は死ぬのにもってこいの日』を上演していただきました。
老人ホームでこのタイトル? と思われるかもしれません。しかし、このお話の内容を知って、是非ともご高齢の方にも聴いていただきたいと思い、特養のご入居者もお招きしました。
内容を詳細に表現するのは難しいですが、40分ほどの舞台の中に、実に奥深いテーマとメッセージを忍ばせてあります。
特に私が心に響いたのが、「私の身体は、いつも私の心を裏切る」という言葉。
高齢になると、身体の機能はどうしても衰えていきます。気持ちはまだまだと思っていても、若い頃と変わらない気持ちでも、身体はそれについてきてくれません。そんな切ない気持ちを表現した言葉だと思います。
「死」と真剣に向き合うことで、「生きる」意味を考える――私たちの介護という仕事は、人の死を目の当たりにします。
多くの施設で「看取り」をしています。しかし、それは人の死をただ見送ればよいことなのでしょうか。
生を全うした。生まれてきてよかった。長生きした甲斐があった。最後にあなたたちと出逢えてよかった。
そんな風に人生を肯定的に終えることができて、はじめて「看取り」をするといえるのではないでしょうか。
介護職に求められるのは、そんな感性を磨くことなのではないかと思います。
ちなみに……
舞台を観た入居者の方々は、楽しいことがあると、「あ~楽しかった~。今日は死ぬのにもってこいの日だね」と笑っております。
こんな言葉が流行る老人ホームって……
森うたうさんの語りの世界にご興味のある方は、こちらHPをご覧ください。