山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術
超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。
- プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)
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介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)、『介護リーダー必読! 元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダシップの極意』(中央法規出版、2021年)がある。
「パンドラの箱」
その名の通り、ケアをマネジメントする重要な立場のケアマネジャー。
今年も10月に行なわれる試験の申し込みが始まりました。多くの人が働きながら勉強し受験します。大変ですが、やりがいのある仕事です。頑張ってほしいです。
ご利用者のケアをマネジメントすることが重要な役割であることは言うまでもありませんが、そのケアをする人のマネジメントの重要性はどうでしょう。
大切なことだとは分かっていても、具体的に形にできていることは少ない気がします。
介護業界で働く人の労働組合である日本介護クラフトユニオン(NCCU)は、2017年に就業意識実態調査を行ない、事業所運営にかかわっていない方(管理者以外の方)に対して「目指している職位はあるか」という設問をしたそうです。回答したケアマネジャー234名のうち88.9%は「ない」と回答。その理由が「責任が重い」「管理者になると仕事量が増え、責任も重くなるから今のままでよい」などだったそうです。
どのような業界、事業、組織においても、次世代の育成というのは取り組まなければいけない課題です。この調査の数字には、一抹の不安を覚えます。若者達を「ゆとり世代」などという言い方が一時流行りましたが、社会全体が出世欲などに欠けてきているのでしょうか。本来、組織の中で職位が上がっていくことは、自己実現にもつながり、給料も上がり、魅力あることです。しかし、それを「責任が重い」などの理由で放棄するのは、上司が憧れの存在になっていないこと、そのように育てられてきていないことが理由のような気がします。
人材育成やマネジメントというのは、本当に難しいです。それは開けてしまったら大変なことになる「パンドラの箱」のようなもの。そっとしておけば問題は表面化しない。その代わり、根底にある問題は解決しません。
皆さんの事業所も、一見平和そうに見えるけど、実は様々な問題を抱えていませんか?それが実はご利用者の不利益や我慢につながっていませんか?
ケアをする人へのマネジメント。実は絶対に必要なことです。勇気を出して、パンドラの箱を開けてみませんか?
大丈夫。パンドラの箱の底にあるのは『希望』です。