山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術
超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。
- プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)
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介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)、『介護リーダー必読! 元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダシップの極意』(中央法規出版、2021年)がある。
責任なんて誰も取れない
5月22日(日)東京開催のセミナーには、たくさんの方にお越しいただきました。本当にありがとうございました。
群馬、栃木、茨城、千葉、長野、名古屋……遠方から来てくれた方が多くて、正直驚きました。とても嬉しく、感激し、ご期待にそえるよう「頑張りたい!」と思いました。
休憩時間などに、参加者の皆さんから少しお話をうかがうことができましたが、介護現場で働く方の多くが、悩みを抱えていることを改めて知りました。
最も多かったのが、職場の人間関係。これは先週のブログでお話しましたが、次に多いのが、仕事のやりがい。人手不足も重なって、毎日同じように業務の繰り返し。利用者と向き合う時間が取れない。そこにやりがいを感じない。辞めたいなど・・・・・・
介護現場で働く職員の多くは、優しい気持ちや高い志をもっています。利用者のお世話をしたい。喜んでもらえることがしたい。そう思っています。
研修の合間に、ある施設で働く介護職の方から聞いた話です。「どうしても食べたいと言う利用者がいます。僕は本人がそこまで望むなら、食べてもらってはどうかと思っています。実際に食べる機能はあると思います。でも、職場の上司はリスクが高いからダメだ!と言います。本人が、どんなに望んでも、決定権は施設にあるのですか?正直、僕は職場に行くのが嫌になっています。でも、転職してどこの職場に行ったとしても、同じなのかな~とも悩みます」という内容でした。
決定権が施設にある?それはおかしいですよね。施設はあくまでサービスを提供する側で、顧客は利用者です。利用者の人生ですし、決定権が施設側にあるはずがありません。
よく利用者がそのようなことを求める場合、施設は「何かあっても責任が取れない」と言いますが、そういう人に私は逆に聞きたい。「じゃあ、利用者がやりたいと思っていることをやらなかった責任は誰が取るのですか?」
その人の人生。もっと一緒に考えたい。もっとみんなで考えたい。介護職だけでなく、管理者を含め、多職種が協力して考えれば、良案が生まれることもあるはずです。