山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術
超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。
- プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)
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介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)、『介護リーダー必読! 元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダシップの極意』(中央法規出版、2021年)がある。
☆天国に一番近いアイドル☆
皆さんは、『KBG84』というアイドルグループをご存知でしょうか? 沖縄の離島・小浜島で暮らす80代以上のお婆ちゃんグループで、CDデビューも果たしました。
名前の由来は、小浜島の(K)婆ちゃんの(B)合唱団(G)で、「84」はお婆ちゃん達の平均年齢が84歳だから。「天国に一番近いアイドル」というキャッチフレーズも、ブラックユーモアがきいてます。
アップテンポなリズムに乗って、お婆ちゃん達が楽しそうに唄い、踊ります。ぜひ、ご覧になってください。
このお婆ちゃん達を見ていて、きっと誰しもが思うことは、活き活きとしていること。平均年齢84だから、間違いなく晩年です。「天国に一番近い」という表現も、見方によっては失礼な表現だと思う方がいるかもしれませんが、ご本人達がこれをユーモアとしてとらえ、気に入っているのなら、わざわざ否定することもありません。
私たち介護職は、「生活支援のプロフェッショナル」。生活とは、活き活きと活力の活きるに、生命の生きると書きます。つまり、私たちは高齢者が活き活きと生きることを支援するのが仕事。KBGの皆さんを見て、私たちが支援するお婆ちゃん達にも、こんなに活き活きと生きてほしい!と思う人は少なくないはずです。
私の勤務する施設でも、「オリンピック」や「ナンバー1決定戦」など、ちょっとぶっ飛んだ?企画を行っています。リレーはバトンリレーなんかじゃありません。本気の全力疾走だったり、80年ぶりという跳び箱を飛んで?もらったり、顔を粉だらけにして飴玉をくわえたり。綱引きをする表情なんて、ご家族が見てびっくりしていました。
一つひとつが、お婆ちゃん達の名場面。よく「童心に帰る」という言い方をしますが、童心になんて帰っていません。童心になんて帰れない。みんな「今」を生きているのです。
今がキラキラしたっていい。いや、残された時間が限られているからこそ、今キラキラしてほしい。
90歳、100歳の人たちに明日の保障なんてありません。いつか…なんて思っていたら、人生終わってしまう。今をキラキラ、快活に、楽しく、明るく、自分らしく…。介護職はそれを支援する仕事。こんなイカシテル仕事は、ちょっとない。